『週刊文春』で20年にわたって対談ページ『阿川佐和子のこの人に会いたい』のホステスを務める阿川佐和子さん(58)。対談した人数は約920人に。その経験をもとに展開する、インタビューの秘訣をまとめた『聞く力 心をひらく35のヒント』(文藝春秋・840円)が出版された。本書の中には、これまでに阿川さんが出会い、対談した有名人のエピソードが詰まっている。
阿川さんとの対談が始まって時間がかなりたっても、ニヒルな雰囲気が変わらず、楽しくなさそうにみえた俳優の渡部篤郎。ぽつりぽつりと答えるだけで、テンションもあがらない。沈んだ気持ちのまま、そろそろおしまいにしようと思っていたそのとき、渡部にいわれた。
<「(この対談を)もっともっと、たくさんやったほうがいいですよ」「へ?」「だって非常に話しやすいもん」>
「この言葉を聞いて、本当に椅子から転げ落ちました。そして思いましたね、人は自分と同じように喜んだり悲しんだりするとは限らないって。楽しくなさそうに見える人だって、心の中では楽しいと思っているかもしれないんですよね」(阿川さん)
聖飢魔IIのデーモン閣下との対談を前に、阿川さんは「へヴィメタってなに?」。思い切って、でも、失礼にならないように恐る恐る聞いてみると、
<驚きましたよ。デーモン閣下は親切! しかも説明がお上手! 私のようなロックシロウト相手に、それはわかりやすく教えてくださったのです>
「まるで優秀な家庭教師のように教え方が上手で(笑い)。みんなが知っているふりをしているけれど、実はあんまり知られていないことをこうやってぶつけてみると、意外とご本人が喜んで解説してくれることもあると知りました」(阿川さん)
※女性セブン2012年3月29日・4月5日号