東日本大震災から1年が経ったが、いつ来るかもしれぬ巨大地震に怯える日々。命を守るためにはそれぞれが生き残る術を身につけておかなくてはいけない。そこで大きなたよりとなるのが実体験に基づく教訓だ。阪神・淡路大震災の被災者で、『震度7が残した108の教訓』(小学館)の著者・荒尾和彦さんが指摘するのは“のみ込みやすい食べ物を用意しろ”ということだ。
贅沢なんかいってられない被災後の食事。震災当日の夜、配給で配られたおにぎりが、あまりに美味しくて思わず涙したという女性もいたが、これは恵まれたケースかもしれない。仙台市に住む40代の女性は次のように話す。
「私がいた避難所では、非常食のカレーが配られたの。“スゴい、豪華!”ってはじめは思ったんだけど、食べてみたら、冷たいし、ご飯はガチガチで食べられたもんじゃなかった。もったいないってわかったけど、残しちゃいました」
この意見は決して贅沢なものではない。ようやくたどり着いた避難所で、唯一の安息といってよい食事はその後のモチベーションに影響する。配給で配られたこのカレーのように非常食は水気が少ないもの。それはあの定番アイテムも同じだ。
石巻市在住の20代会社員はこう振り返る。
「家から持ってきた非常持出袋に乾パンがはいってたから、食べたんだけど、パサパサしてなかなか喉を通らない。1枚食べるだけで、大事な水をいっぱい飲んじゃった。友達が、普通の板チョコをくれたんだけど、よっぽど美味しかった」
※女性セブン2012年3月29日・4月5日号