空前の美熟女ブームと一部巷では言われているが、美貌、色気、包容、豊満……五月みどりは、熟女に求められるすべてを備えたセックスシンボルだった。そんな五月みどりが眼の前にいる! 現在72歳というが信じられん。この色香、50代で通用する。
五月さんは艶然とほほ笑んだ。
「セクシー熟女の代表といっていただけるのは本当に光栄です。世の男性が私に、お色気ムンムンというイメージを持つことには抵抗なかったですね。映画やレコードなどいろんなお仕事ができて楽しかった。やる以上は、一生懸命に男性の期待にお応えしようとがんばりました」
五月さんが真正面から“熟女”を打ち出したのは1983年発売のレコード『熟女B』からだ。彼女は43歳だった。
「最高の名曲だと自負しています。作詞・なかにし礼先生、作曲・中村泰士先生のゴールデンコンビの作品です。
この曲は、黒いレースのシースルーの衣装で歌っていました。下はショーツだけだから、ぱっと見たらスッポンポンだと錯覚しちゃう。ステージでは大歓声をいただいたんですけど、テレビではお色気がありすぎて、出演させてもらえませんでした」
五月さんが初めて桜色に染まった柔肌をみせたのは、1975年封切りの映画『五月みどりのかまきり夫人の告白』だった。以降、東映と日活で4本の作品に主演した。
「83年の日活ロマンポルノ、『ファイナル・スキャンダル 奥様はお固いのがお好き』のタイトルは私が考えたんです。企画会議で口にしたら大ウケしちゃって。でも、エロチックな映画はこの年までにしました。女優としての仕事の幅を広げたいと思うようになったんです」
五月さんは、1984年放送のテレビドラマ『昨日、悲別で』で演技派に転向した。同時に、彼女が裸体をみせることもなくなってしまう。
近年では、2007年『伊東家の食卓』で演じた、美人で気さくなお母さん役が思い出されよう。だが、それで“熟女のアイコン”としての五月さんを慕うファンが、減ったわけではなかった。
「現在も30代の男性ファンが大勢いてくださいます。私には、何でも許して包み込み、ときには叱ってくれるような雰囲気があるみたい。でも、実際はけっこう男性に厳しいタイプなんですけどね」
最近では、そんな五月さんが歩んできた人生に共鳴する女性ファンも多いという。
「また熟女が大ブームですからね。私も古希をこえたし、元祖熟女として、29年ぶりに脱いでもいいかな」
※週刊ポスト2012年3月30日号