景気予測の達人として知られる三井住友アセットマネジメントのチーフエコノミスト・宅森昭吉氏によると、現在、身近なデータのなかに、様々な景気改善サインが点灯しているという。では、気になる株価の行方はどうか? 宅森氏が読み解く。
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2012年の株価の行方だが、こちらも明るいシグナルが多く点灯している。
今年のNHK大河ドラマは『平清盛』だ。かつてわき役や敵役、書状の名前だけという場合を含め平清盛が登場したケースは5回あるが、そのすべての放送期間が景気拡張局面で、年末の日経平均株価が前年を上回っている。今年はなんといっても主役だけに期待が膨らむ。源平を描く物語は全国にゆかりの地が点在し、観光などの経済効果も高くなる傾向にある。
プロ野球も注目だ。過去のデータから、日本なら巨人、アメリカならヤンキースといった人気チームが強い年は景気が上向く傾向にある。過去62年の記録をみると、夏の甲子園で東京の代表が優勝した年の翌年には、必ず巨人がリーグ優勝するという法則がある。昨年は西東京代表の日大三高が制しており、このジンクス通りならば、今年は巨人優勝→景気上向き→株価上昇のシナリオも期待できる。
意外なところでは、5月21日の金環日食がある。戦後、金環日食と皆既日食は3回ずつあったが、いずれも景気にはプラスで、景気拡張局面にあると長続きする。後退局面にあった場合でも2か月後に景気の谷を迎えて好転した。1年後の株価は皆既日食では下落傾向だが、金環日食の場合は上昇している。
実体経済の主役は生身の人間だ。これらのジンクスを一笑に付すのはたやすいが、現実に偶然とは言い切れない確率で景気の動向や転換点をズバリ言い当てている。投資のチャンスを見逃さないためにも、ぜひ身近なサインに注目しておきたい。
※マネーポスト2012年春号