離婚裁判の泥沼の渦中にいる高嶋政伸の妻・美元は、別居中でも生活費45万円を毎月もらっている。そんな報道に「有名人は特別よね」なんて思っている人も多いはず。しかし、金額の差こそあれ、離婚や別居を考えたとき、法律は妻に有利に働くケースが多い。
離婚の決心がつかない人でも、別居しながら生活費をもらえるのが『婚姻費用』だ。離婚相談を年50件以上受ける弁護士の加納小百合さんはこう語る。
「“結婚生活を続ける意思”があることが前提ですが、別居中でも自分より収入の高い相手から、自分や子供の生活費として婚姻費用をもらうことができるのです」
『婚姻費用』とは、夫婦が生活するうえで必要なお金のこと。民法では夫婦は同じ生活レベルを維持するために必要な生活費を分配することが義務づけられており、婚姻関係が続いている以上、別居時でも同じ。別居の理由にかかわらず、収入の高いほうが低い相手に支払うことと定められている。婚姻費用として請求できるのは配偶者の衣食住に関する費用、子供の養育費(20才未満の子供の人数分)、娯楽費、交際費などだ。
「婚姻費用は夫婦の収入に応じて金額が決まります。夫婦間の収入に大きな差がある場合は、月10万円以上をもらうこともできます」(前出・加納さん)
これは収入に少しでも差があればOK。フルタイムで働く妻の年収が500万円前後あり、通常の生活で困ることがなくても、夫の年収が妻の収入を超えていれば妻は婚姻費用を請求することができる。
「離婚をすれば妻が月々もらえるのは子供の養育費だけですが、婚姻費用なら子供+妻自身の生活費や娯楽費までもらえるのです」(前出・加納さん)
婚姻費用は未成年の子供がいない場合も請求できる。夫700万円、妻200万円の場合で金額は月6万~8万円。熟年離婚の場合、子供が成人していれば養育費はもらえないが、別居なら妻の生活費は請求し続けることができる。
※女性セブン2012年3月29日・4月5日号