ビジネス

今年世界経済の中で最も元気な国は日本になると証券会社社長

 2012年の世界経済はギリシャに端を発したユーロ圏の債務危機に最大の注目が集まっている。しかし、その陰で政界経済を牽引してきた新興国にも危機が迫っていると指摘するのはフェニックス証券社長の丹羽広氏である。為替を通じて広く世界経済を分析してきた丹羽氏が解説する。

 * * *
 ユーロの債務危機は確かに深刻だが、実は欧州の問題よりも中国、インドで起きている資産バブルの崩壊が今後、それ以上に深刻になるのではと懸念している。

 中国の現地情報によると、空室のマンションやオフィスをキャピタルゲイン狙いだけで手付金なしでひたすら転売を繰り返す状態が続いていたが、それが数珠つなぎで高値を極めた後、突然売れなくなるという恐ろしい事態が上海や香港で起きているという。中国当局の金融引き締めが原因だ。当局ももちろん現状を把握しており、慌てて金融緩和を始めているが、金融緩和だけでバブル崩壊を止めることができないのは、過去の日本の例をみれば自明である。

 当然、その他の資産価値や雇用にも影響してくるだろう。中国発の世界同時株安などのショック的なこともあり得ると思う。

 アメリカにも不安定要因はたくさんあるが、ヨーロッパ、中国やインドなどアジア新興国に比べると、無風に近いと感じている。

 では今年、最も元気な国はどこか。世界経済の文脈の中では意外に思われるかもしれないが、それは日本である。

 東日本大震災や洪水など未曾有の自然災害に襲われたことは悲しく不幸な出来事だった。しかし、日本は力強く立ち上がり、被災地の復旧・復興需要も増え、各種企業の業績に寄与し始めている。

 確かに日本の財政は問題を抱えているが、その大半は医療と年金だ。恩恵を受けている高齢者世代はその所得を預貯金という形で子供や孫の世代に移転している。つまり、銀行の預貯金を通じて国債を買っているわけだ。この点を査証すると、日本の財政は意外と健全で、公共事業を増やす余地もまだ十分ある。世界も今年はこの国に大きく注目してくるだろう。

※マネーポスト2012年春号

関連記事

トピックス

「複数の刺し傷があった」被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと、手柄さんが見つかった自宅マンション
「ダンスをやっていて活発な人気者」「男の子にも好かれていたんじゃないかな」手柄玲奈さん(15)刺殺で同級生が涙の証言【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場(時事通信フォト)
「日本人は並ぶことに生きがいを感じている…」大阪・関西万博が開幕するも米国の掲示板サイトで辛辣コメント…訪日観光客に聞いた“万博に行かない理由”
NEWSポストセブン
ファンから心配の声が相次ぐジャスティン・ビーバー(dpa/時事通信フォト)
《ハイ状態では…?》ジャスティン・ビーバー(31)が投稿した家を燃やすアニメ動画で騒然、激変ビジュアルや相次ぐ“奇行”に心配する声続出
NEWSポストセブン
NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」で初の朝ドラ出演を果たしたソニン(時事通信フォト)
《朝ドラ初出演のソニン(42)》「毎日涙と鼻血が…」裸エプロンCDジャケットと陵辱される女子高生役を経て再ブレイクを果たした“並々ならぬプロ意識”と“ハチキン根性”
NEWSポストセブン
4月14日夜、さいたま市桜区のマンションで女子高校生の手柄玲奈さん(15)が刺殺された
「血だらけで逃げようとしたのか…」手柄玲奈さん(15)刺殺現場に残っていた“1キロ以上続く血痕”と住民が聞いた「この辺りで聞いたことのない声」【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
山口組も大谷のプレーに関心を寄せているようだ(司組長の写真は時事通信)
〈山口組が大谷翔平を「日本人の誇り」と称賛〉機関紙で見せた司忍組長の「銀色着物姿」 83歳のお祝いに届いた大量の胡蝶蘭
NEWSポストセブン
20年ぶりの万博で”桜”のリンクコーデを披露された天皇皇后両陛下(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
皇后雅子さまが大阪・関西万博の開幕日にご登場 20年ぶりの万博で見せられた晴れやかな笑顔と”桜”のリンクコーデ
NEWSポストセブン
朝ドラ『あんぱん』に出演中の竹野内豊
【朝ドラ『あんぱん』でも好演】時代に合わせてアップデートする竹野内豊、癒しと信頼を感じさせ、好感度も信頼度もバツグン
女性セブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
高校時代の広末涼子。歌手デビューした年に紅白出場(1997年撮影)
《事故直前にヒロスエでーす》広末涼子さんに見られた“奇行”にフィフィが感じる「当時の“芸能界”という異常な環境」「世間から要請されたプレッシャー」
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下は秋篠宮ご夫妻とともに会場内を視察された(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
《藤原紀香が出迎え》皇后雅子さま、大阪・関西万博をご視察 “アクティブ”イメージのブルーグレーのパンツススーツ姿 
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン