震災後、昨年10月の仮営業開始まで約半年、福島県いわき市にあるスパリゾートハワイアンズのステージに立てなかったフラガールたち。その間の彼女たちの大きな役割は、キャラバンで全国を回り、原発事故による風評被害の払拭と被災地支援を訴えることだった。リーダーのマルヒア由佳理さんは言う。
「将来への不安でいっぱいのスタートでした。でも、踊ることで、“立ち止まってちゃダメだ”と思えたんです」
26都道府県124か所に及ぶキャラバン。観客たちは皆、心強い“福島の応援団”となった。
その頃、新人の梁瀬結香さんは10月のデビューを目指して練習を積んでいた。「フラガールになるための試験にようやく受かって、デビューする矢先の震災でした。地元の方は、みんな苦しんでいます。まだ新人ですが、見に来てくれた人に夢を与えられるようになりたい」と語る。
今年2月8日にはメイン会場もリニューアルされ、グランドオープン。1日2回のステージは大盛況だ。記者の横で見ていたおばあちゃんがつぶやいた。
「あの子たちが踊っているのを見て涙がこぼれた。少し元気になれた……」
※SAPIO2012年4月4日号