巨人の「契約金上限超え問題」に関連して、アマ有望選手に200万円の“小遣い”を渡したり、強豪大学野球部の監督に「退任後に業務委託料として2000万円を支払う」との覚書を交わしていたことが明らかになった。アマ球界に浸透するそうした“ブラックマネー”の裾野は中学生にまで広がっている。
関西の強豪校の野球部長経験者が語る。
「プロから社会人や大学に流れたカネは高校に流れ、そのカネが中学生の獲得に使われる。そこで重要な役割を果たすのがブローカーと呼ばれる人たちで、彼らは全国各地の有望な野球少年に声を掛け、“契約”している高校に入学するように口説く」
甲子園では選抜高校野球が開催されているが、ベンチ入りメンバーの過半数が県外出身者という学校も珍しくない。そうした有望中学生の進学に際して暗躍するのがブローカーだという。
「ブローカー業は、飲食店や運動具用品店などの自営業者が副業にしているケースが多い。時間の自由が利き、アマ野球関係者との繋がりをつくりやすいからです」(少年野球関係者)
彼らはシニアリーグや中学野球部に逸材がいるとの情報をキャッチすると、そこへ出向いて監督や保護者に接触する。「中には保護者から、“ウチの子を甲子園に行かせたいので協力してほしい”と相談されるケースもある」(同前)という。その子供を高校に紹介して、報酬を受け取るのだ。
「高校から依頼されて選手を獲得すれば紹介料は月額5万円、3年間で180万円前後が相場。親から頼まれて強豪校に入学させた場合は、10万~30万程度の謝礼が発生する。その子供が在学中に甲子園に出れば、さらに数十万円のボーナスが上乗せされるようです」(前出の元野球部長)
最大の収入は、紹介した子供がプロ入りした時の謝礼だという。
「プロとの契約金の5%がブローカーに渡ったというケースもある。有名大学や社会人野球に進んだ時にも報酬が発生するので、“3年に1度甲子園、10年に1度プロ入りすれば家が建つ”といわれます」(同前)
※週刊ポスト2012年4月6日号