「経済の千里眼」の異名を持つ経済評論家の菅下清廣氏の予言通り、日本株は眠りから覚めたように急騰し始めた。緊急出版された近著『相場の波動はシンプルに読め!』(小学館刊)がベストセラーになっている菅下氏に、同書で明かした「相場の波動に乗る投資法」を活かした投資術を聞いた。
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私が著書や『週刊ポスト』で予言した通り、日経平均株価は大震災後の高値に迫る急騰を遂げています。
きっかけとなったのは2月14日の日銀政策決定会合で、これまで頑なに金融緩和を拒んできた日銀が、内外の圧力を受けて緩和策を打ち出したことです。
ここまでは先週の週刊ポストのインタビューでもお話しした通りで、案の定、3月19日にはまた直近の高値を更新しました。しかし、投資家にとって重要なことは、過去の予測が当たったかを振り返ることではなく、未来の相場を的確に予測し、利益を得ることです。この上昇相場はいつまで続くのか、いくらまで上がるのか。スガシタ流で予測してみます。
3月中旬の株相場は、震災後高値である昨年7月8日の1万207円にトライしつつ、その直前で少し足踏みしている状態です。相場の言葉で、このような状態を「高値ツラ合わせ」と呼び、株価が膠着する「もみ合い」になりやすい状態です。今後の展開には3つの可能性があります。
第1は最も強気なシナリオで、3月中に震災後高値を突破し、昨年の最高値である1万891円(2月17日)を目指す流れ。
第2は、しばらく1万円台前半でもみ合いが続くシナリオです。この場合のチャートは小動きで、ダラダラと横向きが続きます。
第3はやや弱気のシナリオで、いったん株価は調整(値下がり)に入り、1万円を割り込むケース。ただし、このケースでも今のブル・マーケット(強気相場)ならば、必ず押し目買い(値下がりした時点で買い注文を出すこと)が入ります。
今回の相場は2月14日に動き始めました。8900円台から1万200円近くまで上げましたから、上げ幅は約1300円です。近著にも書きましたが、強気相場の調整は「3分の1押し」の可能性が高い。上げ幅の3分の1くらい下げると、機関投資家が大規模な押し目買いを入れ、そこからまた上昇する動きです。ズバリ、このやや弱気シナリオだとしても、9700円台に入れば、再び買いのチャンスと予測します。
最も安全策を採るとしても、「半値押し」の9500円が直近の底値になるでしょう。これから投資する人は、そのあたりまで株価が下がったら買い時です。
また、相場が下降から上昇に転じる際には、1日の始値と終値の差が小さい「短いローソク足(極線)」や「十字足(寄引同値線)」が出現するなど、チャートを見て判断することもできます。これは近著に詳しいので、ご興味のある方はご覧ください。
※週刊ポスト2012年4月6日号