関西―福岡3780円、関西―新千歳4780円! 新幹線より速いのはもちろん、場合によっては深夜バスより安いこともある夢の格安航空会社(LCC)「ピーチ」が登場した。欧米では3割以上のシェアをもつというLCCだが、日本では初登場。従来より運航スケジュールを効率化し、サービスも簡素化することで運賃を下げるという理屈はわかるが、実際の乗り心地はどうなのだろうか。女性セブンの名物記者“オバ記者”が、「ピーチ」の関西―新千歳便に乗り、LCCを体験してきた。
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まずは、関西―新千歳間をネットで購入。支払手数料(210円)や座席指定料金(210円)などが加算され、片道料金は8400円となった。運賃は時期や予約状況により変動し、電話や窓口での購入はさらに手数料が加算される。
「ネットに不慣れのオバは苦戦しながら購入。料金の安さには満足だけど、座席指定だけで料金が加算されるなんてビックリ」(オバ記者)
空港でのチェックインは、自動チェックインのみ。ネットでの購入時にプリントした予約確認書を持参するか予約番号を控えておく必要がある。機械を操作すると座席番号が記載されたチケットが出てくる。
「液晶画面を触れるだけでOK! 周りを見ると第一便ということもあってか人は多いが、旅の情緒は皆無。空港の華やかさも極薄!?」(オバ記者)
無料で機内に持ち込める手荷物は1個だけ。10kg超の手荷物は有料となる。オバの荷物は10kg超だったので、2100円支払い、預けることとなった。支払いはクレジットカードのみ。
前の座席とひざとの間隔は約10cm。機内誌も座席にかかるカバーもなし。総座席数は180席で、全日空の同じ機体と比べ2列14席多くなっている。
「“新車”のにおいは◎。だけど席は狭い…。どうせ約2時間とガマンするも…隣席のオヤジのポマード頭がくっつきそうで…」
機内での毛布の貸し出し、新聞、雑誌のサービスはない。機内食やジュースは有料で、価格はクリームペンネパスタ600円、カップ麺350円など。第一便では、機内の混雑もあり希望客全てに行き届かなかった。
「クリームペンネパスタはレンジで加熱しすぎ。『ラップがとれない』というと『えっ!?』。プロCAは決してしない狼狽が初々しい、のかな?」
到着後は、従来同様にベルトコンベアーの上を回る手荷物を乗客が受け取るシステム。とくに混雑はなかった。
「手荷物を預けた人はあまりいなかったよう。手軽に気軽にひとっ飛びしましょ、てことなのね。ようやくローコストキャリア(LCC)の◎を実感」(オバ記者)
旅行作家でエッセイストの山下マヌーさんは、LCCの利用の仕方についてこう話す。
「食事や毛布、枕、荷物預けなど有料を積み上げたら普通の航空運賃とほぼ変わらなくなることも。荷物は機内に持ち込めるようコンパクトにまとめ、食事は空港で空弁を買うなど工夫が必要。要は“低料金なのでこれしかやりません”という航空会社の考え方を理解すれば利用価値がある。5年、10年後には定着していますよ」
※女性セブン2012年3月29日・4月5日号