芸能人の高額慰謝料が話題になると、ついつい、慰謝料ってそんなに取れるんだ…と思ってしまいがち。しかし、実際は違うようだ。東京合同法律事務所所属で、年に50件以上の離婚相談を受けている弁護士の加納小百合さんはこう説明する。
「結婚年数の長さや慰謝料を払う側の社会的地位・収入が考慮されたとしても、平均額は200万~300万円。夫の不貞と暴力が重なっても500万円ほどです」
その理由について、慰謝料を請求するには目に見える証拠が必要だからと、淡路町ドリーム所属の弁護士・松江仁美さんは話す。
「日本は目に見えないモノに対する判断が慎重なため、浮気現場の写真やDVによる体の傷などの証拠があれば請求しやすいのですが、言葉の暴力などによる精神的苦痛はなかなか認められないのが現状なのです」(松江さん)
そのため、しっかり慰謝料を相手から取ろうと思えば、日ごろから証拠集めにはげむことが必要になる?
「夫が愛人とホテルにはいっていくところなど、不貞のいい訳ができない状況の写真などは、慰謝料を取るために効力を発揮します」(加納さん)
ただ、強力な証拠集めのためにプロの探偵を雇ったはいいが、浮気調査の費用が100万円を超え、結局、慰謝料よりも調査費用が高額になってしまったケースもあるとか。
ちなみに、こんな慰謝料の例があったという。
【夫から妻へ300万円】
16年間の婚姻生活中、次から次へと数人の女性と婚外関係を繰り返した夫に、耐えきれなくなった妻から慰謝料の請求が認められた。
【妻から夫へ150万円】
婚姻から数か月で協議離婚。婚姻当初から性交渉を拒否し続けた妻に対して夫からの請求。婚姻の破綻は男性との性交渉に耐えられない妻の性質からの拒否であった。
【妻から夫へ200万円】
夫の年収が700万円前後なのに子供の習い事に400万円を消費するのに加え、年に数回しか掃除をしない、火災がこわくてストーブがつけられないという妻の非常識な行為に対して夫が請求。
※女性セブン2012年3月29日・4月5日号