大人力コラムニスト・石原壮一郎氏の「ニュースから学ぶ大人力」。今回は日本中に?衝撃が走ったAKB48の前田敦子の卒業を素材に、「転職・独立で旅立っていく同僚の大人の送り方」を学びます。微妙な気持ちをグッとこらえて、大人の余裕をどう見せられるか。
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べつにAKB48のファン以外にとっては「それがどうした」という話題のはずなんですけど、なんだか日本中が大騒ぎになっています。絶対的エースとしてグループを引っ張ってきた前田敦子が、3 月25日のコンサートの最中に、いきなり「私、前田敦子はAKB48を卒業します!」を宣言しました。とはいえ、芸能界から引退するわけではないようだし、卒業の時期もまだ決まっていないとか。
会社生活でも、転職なり独立なりで、エース的な先輩やライバル的な同僚がいなくなるケースはよくあります。そんなときに大人としては、どう言って送り出すべきか。前田敦子の卒業に対する周囲のコメントから、そのコツを学ばせてもらいましょう。
後輩たちが「これからも応援します」「今までお疲れさま」などと言っている中、ひと味違ったのが大島優子がブログに記したコメント。「私たちの行く道を照らしてください。そして背中を押してください。卒業していくメンバーの行く道も……」と、照らしたり押したりいろんな役割を期待しています。自他ともに認めるライバルでしかも自分が年上という立場だと、相手を大きな存在として扱うことが何よりのエールなのかも。
みなさんも、年下のライバルが会社を去る場面では、「これからも○○君に我々の行く道を照らしてもらって、○○君の活躍に背中を押されながら頑張るよ」ぐらいの言い方で送り出しましょう。大人としての懐の深さやライバルへの友情を表現できそうです。
上司の立場で送り出す場合はどうか。卒業宣言があった日の深夜、秋元康総合プロデューサーは「Google+」でコメントを発表。その中で「(自分の成長のために)敢えて厳しい世界に飛び込もうと思ったのでしょう」と決意を評価しつつ、「もう前田の好きにさせてあげたいと思いました」と解放を宣言し、さらに「みんなで前田の卒業を祝ってあげませんか。よく頑張ったね。お疲れ様」と親身にねぎらっています。
この「決意の評価」「解放の宣言」「親身のねぎらい」の3点セットを盛り込めば、上司としての愛にあふれた送り出し方ができるはず。ま、前田敦子の場合は、秋元康総合プロデューサーから旅立つわけではないんですけど、そこは気にしなくてもかまいません。
そのほか、南海キャンディーズの山里亮太は、テレビ番組内のインタビューで、今までの感謝と今後の活躍を期待するメッセージとともに、「(前田はAKB48の精神的支柱だっただけに)ほかのメンバーがどうなるか心配ですね」とコメントしました。これを応用して、隣の部署のエースが抜けるといった傍観者的立場の場合は、そのエースに「お前がいなくなったあとが心配だな」と言ってあげるとそれなりに喜んでもらえるはず。
全力で気持ちよく送り出すのは、相手のためだけではありません。複雑な思いをごまかしたり大人の貫録を見せつけたりするためにも、あの手この手で頑張りましょう。