ビジネス

欧州危機は「世界の投機資本が作ったインチキ」と森永卓郎氏

 経済見通しをふまえたうえで先読み資産防衛術を紹介するマネーポストの好評連載「森永卓郎のサバイバル資産防衛術」。森永氏は2012年の日本景気については、比較的良好に見ているという。

 * * *
 今年の日本の景気動向については、私はポジティブに見ています。1次~4次の補正予算、および来年度予算を合わせて18兆円の復興予算が組まれ、これがこれから執行されていくことで、当面は景気失速の可能性がなくなったと思っています。

 野田政権が強引に進める消費税引き上げが、もし決まったとしても、第一段のアップは2年後。まだ2年間は消費増税の影響は受けないので、今年は復興需要が経済を下支えして、日本経済は緩やかな回復基調がみられると考えています。

 ただし、懸念材料はあります。欧州の金融財政危機と超円高です。

 まず、今が正念場にきている欧州の金融財政危機ですが、これは米国の格付け会社をお先棒として世界の投機資本が意図的につくりだした、まったくもってインチキなものであることが明らかになっています。

 例えば、2011年の基礎的財政収支の対GDP(国内総生産)比をみると、欧州の財政はそれほど悪くないことがわかります。ユーロ圏全体では収支均衡で財政赤字は出していません。今、投機資本の矛先が向けられているイタリアに至っては、1.8%の黒字なのです。

 それなのに、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の格付けでは、イタリアは投資不適格寸前のランクに、ポルトガルは既に投資不適格のランクまで格下げされてしまっています。本当の財政状態と格付けがまったくリンクしていない。

 それでも、根拠はなくても不安を煽られて投資家みんなが売りに向かえば、ギリシャのようにやられてしまう。現状では、イタリアやフランスまでもが標的になっていますが、そもそもインチキなので、この不安定要因は収束に向かい始めるとみています。

(連載「森永卓郎のサバイバル資産防衛術」より抜粋)

※マネーポスト2012年春号

関連キーワード

トピックス

第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
日米通算200勝を前に渋みが続く田中
15歳の田中将大を“投手に抜擢”した恩師が語る「指先の感覚が良かった」の原点 大願の200勝に向けて「スタイルチェンジが必要」のエールを贈る
週刊ポスト
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
裏アカ騒動、その代償は大きかった
《まじで早く辞めてくんねえかな》モー娘。北川莉央“裏アカ流出騒動” 同じ騒ぎ起こした先輩アイドルと同じ「ソロの道」歩むか
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
【「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手】積水ハウス55億円詐欺事件・受刑者との往復書簡 “主犯格”は「騙された」と主張、食い違う当事者たちの言い分
週刊ポスト
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
【ギリギリセーフの可能性も】不倫報道・永野芽郁と田中圭のCMクライアント企業は横並びで「様子見」…NTTコミュニケーションズほか寄せられた「見解」
NEWSポストセブン
ミニから美脚が飛び出す深田恭子
《半同棲ライフの実態》深田恭子の新恋人“茶髪にピアスのテレビマン”が匂わせから一転、SNSを削除した理由「彼なりに覚悟を示した」
NEWSポストセブン
保育士の行仕由佳さん(35)とプロボクサーだった佐藤蓮真容疑者(21)の関係とはいったい──(本人SNSより)
《宮城・保育士死体遺棄》「亡くなった女性とは“親しい仲”だと聞いていました」行仕由佳さんとプロボクサー・佐藤蓮真容疑者(21)の“意外な関係性”
NEWSポストセブン
過去のセクハラが報じられた石橋貴明
とんねるず・石橋貴明 恒例の人気特番が消滅危機のなか「がん闘病」を支える女性
週刊ポスト