卒業式の国歌斉唱で、教職員が本当に歌ったかどうかのチェックを行ったと報じられ、行き過ぎた教師監視の象徴として大きな批判を浴びた大阪府立和泉の中原徹校長(41)。その中原校長がインタビューに応じ、実は卒業式についてはもう一つ問題があったと語った。
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校内では君が代より『仰げば尊し』のほうが議論があったんです。先生の側から『仰げば尊し』なんてもう歌わなくていいという意見があった。
『仰げば尊し』の歌詞については近年、一部の保護者や教師から、「教師が『我が師の恩』と歌うよう強制するのはおかしい」「『身を立て』は、時代錯誤の立身出世主義だ」といった批判があり、『君が代』と並んで攻撃対象にされているんです。
ベテランの先生に聞いたら、君が代はもう条例化されてしまったから、今後は『仰げば尊し』を問題にしようとする人たちがいるというのです。師に対して無理やりお礼をしろ、尊敬をしろという歌はけしからんと批判するのだと。職員同士で議論もしましたが、3年生の担任団の先生たちが、やはり厳かな日本の伝統として入れたいというので、今年は歌うことになりました。
生徒たちには、国歌を歌うときには国に、校歌を歌うときには学校に、『仰げば尊し』を歌うときにはお世話になった先生に、それぞれ感謝の気持ちを込めてしっかり歌おうといいました。
※週刊ポスト2012年4月6日号