NHKは4日、2月末における地上デジタル放送受信機の普及状況(速報値)を発表した。それによると、累計普及台数は約1億495万台。また、BSデジタル放送受信機は約1億193万台にのぼるという。
BSデジタル放送は、昨年7月24日に終了したBSアナログ放送の帯域、及び新たなBS拡張帯域を利用して、昨年10月に12チャンネルが開局し、3月1日にはさらに7チャンネル増加。合計31チャンネルとなり、勢いを増している。BSといえばスポーツやアニメなどの充実が挙げられるが、この度BS日テレが初のオリジナルドラマに挑戦。海外ドラマの放送も多いなか、今、BSでオリジナルドラマを制作する理由は? BS日テレ広報の加藤さんに話を聞いた。
加藤さんは、まず「BSにおいても、視聴者がどういうドラマを望んでいるのかということがかなり分かってきたのと、視聴可能世帯が増えたという追い風が来たということ、さらに制作費用がかかるドラマを制作する企業体力がついてきた」と“条件が揃った”ことをあげる。
BS日テレが初のオリジナルドラマに選んだのは、「真備庄介霊現象探求所シリーズ『背の眼』」(3月31日21時より放送)。道尾秀介の第5回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作品だ。その理由を、加藤さんはこう語る。(加藤さん、以下「 」内同)
「2時間テレビドラマで重要な要素の一つは、『浅見光彦シリーズ』や『十津川警部シリーズ』のようにシリーズ化も狙える作品であるということです。
『背の眼』主人公の真備庄介(霊現象探求所を運営する)がドラマのシリーズ化をふまえた時、大変魅力的な人物だったことに加え、キャストに渡部篤郎さん、成海璃子さん、平山浩行さんという最高のキャストで制作に臨めたことも、大きな理由のひとつです。」
――BSならではのドラマ、BSらしさという部分はどこにあるのでしょうか?
「人気というよりは、第一に“いい演技”をしてくれる役者さんを起用したのがBSらしいところではないでしょうか。恋愛ドラマみたいにやや浮き足だった内容ではなく、練り上げられたミステリーとして人間が持っている深い部分に踏み込むような原作を忠実にドラマ化した作品となりました。大人がゆっくりと見てもらえるように配慮したところがBS日テレのドラマとしての特徴ということになるかと思います。
真備庄介は探偵でもなく、お祓いをする人でもありません。霊現象を探求をしているものの、その理由は、ただ自分の亡くなった奥さんに会いたい――その気持ちでしかありません。
ジャンルとして、探偵モノともいえないし、刑事モノとも言えないし、恋愛モノともいえない。でも、人への“愛”が根底にあるうえで、ホラーの要素ヒューマンドラマの要素など、何層にも折り重なっているのが特徴です」
――今後の展望などについては?
「今回はなにしろ初の試みですので、この方向が支持されたら、この方向でシリーズ化を是非検討したいと思います。『真備庄介シリーズ』が続くといいですね。
ドラマ原作については、いい作品があって、それが大人にも受け入れられるものであれば、漫画でもラノベでもいいと思います。ともあれ、まずは今回のドラマから繋がっていくものなので、BS日テレとしては、今回をとても重要視しています。ちなみに原作者の道尾先生もどこかで出演しますので、探してみてくださいね!」