岩手の銘菓「かもめの玉子」で知られるさいとう製菓の齊藤俊明社長は昨年の東日本大震災で被災した直後、「売り上げは半減する」と思い、断腸の思いで250人の従業員のうち約40人に、休職と一時解雇を伝えたという。
ところが、売り上げは落ちなかった。それは、齊藤社長の“判断”がもたらしたものだった。
「震災直後、無事だった25万個のかもめの玉子を、避難所で配ることを決めました。25万個なんてどうってことはない。商品はまた作ればいいから」
その話が多くの人に伝わり、昔からの顧客に加え、新たなファンが生まれたのである。
「激励の手紙が数多く届きました」
まもなく、従業員を全員、職場に復帰させることができた。
※SAPIO2012年4月4日号