去る2月16日は、急死した金正日の70回目の誕生日だった。これに合わせて金正恩は小さな軍事パレードを行い、軍最高司令官=金正恩という事実を徹底させたようだ。前日にはシンクロの演目が披露されたという。ジャーナリスト・惠谷治氏がその時の様子をレポートする。
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2月15日には、金正日誕生記念「水中体操舞踏模範出演(シンクロナイズド・スイミング・エキシビション)」が平壌のヘルスセンター「蒼光院」で開催された。
この演目を金正日は好んでいたようで、毎年開催されている。今年のタイトルは『懐かしさは永遠なり』だった。昨年3月23日、まだ元気だった金正日は、金正恩ら側近を引き連れてシンクロを観覧している。
北朝鮮のシンクロと言えば、2006年にシンガポールで開催された第7回アジア水泳選手権、第15回アジア競技大会などで銅メダルを獲得し、美少女として話題になったワン・オクギョン選手が思い出される。2008年の北京五輪以降は低迷しているが、北朝鮮のような厳しい統制国家では一糸乱れぬマスゲームと同様、シンクロは得意とする種目ではなかろうか。金正恩が父の“趣味趣向”を受け継ぐのは間違いない。
※SAPIO2012年4月4日号