運用年金資産約2000億円を消失させたAIJ問題に揺れる日本。その日本が公的年金(国民年金、共済年金、厚生年金)も企業年金も含めた年金資産の運用でやるべきことは何なのか。それはファンドマネージャーのスーパースターの登用だと、大前研一氏は指摘する。以下は、大前氏の解説だ。
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私は、資質的に日本人にファンドマネジメントは無理だと思う。たとえば、野村證券の人たちは、たしかに日本では優秀かもしれない。しかし、彼らには、お客さんの利益を最大化しようという発想がないので、それが求められるファンドマネジメントの仕事はできないのである。
したがって、もっと簡単な方法として提案したいのは、日本の年金を一つに統合して、サッカー日本代表やプロ野球の監督と同じように、世界のファンドで活躍しているプロフェッショナルのファンドマネージャーを雇って運用を任せることだ。
経験豊富で国際的ネットワークを持っているファンドマネージャーのスーパースターは、おそらく世界に10人くらいしかいないと思う。彼らの給料は高額だが、それに見合うパフォーマンスを必ず示してくれるだろう。もし運用成績が悪かったら、クビにすればよいだけの話である。
※週刊ポスト2012年4月6日号