夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、自動車販売メーカー勤務のご主人(54歳)。奥様(55歳)のウソでとんだとばっちりが。
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「田舎の母から連絡があってさ、父の病気はがんなんだって」朝、起きると、女房にそう告げられました。「そうか、お義母さんは心配だろうなあ」そういいながら朝刊を手に取る僕に、
「ねえ、あなた心配じゃないの?」
「そりゃ心配だよ」
「じゃあ、 なぜ、うちの母に『お義父さん、どんな様子ですか?』とか、すぐに電話しないのよ?」
「わかった、するよ」
「もういいわよ! どうせウソだから」。
え~っ、ウソ!?
「この前、アナタのお父さんが倒れた時、私にいったわよね。『すぐにおふくろに電話して励ましてやれ。それが嫁の務めだろう』って。私とお義母さんの仲がしっくりいってないのを承知でそういったのよ。その時、『じゃあ、あなたは婿として私の母に対してはどうなの?』と思ったの。だから試したのよ」
そんなことのために実の父親をがんにするのか?
「アナタって本当に薄情だわ。やっぱり、鬼のようなお義母さんの子供だわ。うちの母がかわいそう」
結局、GWに女房の両親を温泉に招待することで納得させましたが、お義母さんではなく、女房本人が私の家のがんのようです。
※週刊ポスト2012年4月6日号