「契約金最高標準額(1億5000万円)を破って新人選手6人と契約した巨人軍はルールを逸脱している」と報じる朝日に対して、読売は「新人選手らに対する最高標準額は拘束力のない目安。法的な問題は何もない」と主張する。食い違う両紙の主張――、一体、どちらに分があるのか。街頭アンケート257人の声を届ける。
●朝日支持派=145人(56.4%)
朝日支持派は憤る。
「朝日が報じたのは、たぶん事実だと思う。読売があくまで過去の話だと主張するなら、無理に正当化しないで“あの頃はこういうことがありました”と説明すればこうした醜い争いにはならなかった」(男・65歳)
「長嶋さんは内情もよく知らないのに、利用されている感がある」(男・70歳)
「開幕前に騒がれて選手が可哀想、という読売の論調には賛同しない。野球界にいるからには選手も当事者でしょう」(女・39歳)
「メジャーの完全ウェーバー制を支持する。この際、過去ではなく球界の未来を見据えた取り組みに目を向けてほしい」(男・32歳)
巨人ファンにも朝日支持派がいた。それは巨人愛からくる感情だった。
「ルールとしてみんなで決めたのであれば守るべき。ただ、自分は子供の頃からの巨人ファン。うだうだいってないで早く前を向くべき。高額な契約金を得たのであれば2倍、3倍と活躍して罪滅ぼししてほしい」(男・60歳)
●読売支持派=58人(22.6%)
一方、読売支持派は、球界が抱える現実を冷静に見据えた上での意見である。
「巨人はもともと高額スター選手の集まりです。是非を問うより、競争原理の一つとして自分は捉えています」(男・22歳)
「朝日新聞は球団をもっていないから、球団運営の難しさについてわかってないでしょう」(男・45歳)
巨額契約金については――。
「選手生命は短いんだから、もらっておかないと。プロはお金で評価されるんだから」(女・45歳)
「金に任せ優秀な選手を確保するという行為は今に始まったことではない。巨人が金にものをいわせて強くなり、それを他球団が打ち負かすのも見る者にとっては痛快である」(男・34歳)
●その他=54人(21.0%)
両紙の立場に与せず、中立な立場で取材に応じてくれた人も多かった。
「論点がずれてきている。標準額を守らないとどうなるの? 違反ではないんでしょう。ちゃんと罰則のついたルールがないのが問題なのでは」(男・29歳)
「両紙の主張を支持する、しない以前の問題です。だって、震災のこととか、新聞として報じるべきもっと大切なことがあるでしょう。果たして論戦している場合かしら」(女・55歳)
※週刊ポスト2012年4月6日号