ライフ

中高年 太極拳に転倒予防効果あることが米大学医学部で判明

 白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏によれば、中高年の太極拳に転倒予防効果が認められたという。以下、白澤氏の解説だ。
 
 * * *
 これまであまり健康に気を配ってこなかった中高年が、運動不足解消のためにスポーツジム通いを始めるケースは多い。しかし、ジム通いは得てして長続きしないもの。最近はランニングもブームになっているが、いきなり走るのも難しいし、年を取ると膝の故障などが心配だ。
 
 ウォーキングは膝の負担が少ないのでお勧めだが、すぐに飽きてしまうので、もう少しスポーツ要素の高い趣味を持ちたいと考えている人も多いのではないだろうか。

 私がお勧めするのは太極拳だ。古くから中国で武術として継承されてきた拳法の1つだが、実際に格闘する武術というより健康体操の1つとして広まったものだ。太極拳の良い点はグループでできること、運動神経よりも経験年数のほうが上達に関連していること、野外での体操になるので自然に触れたりするアウトドアスポーツのメリットがあること、などが挙げられる。

 米国オレゴン州立大学医学部のフーツォン・リー博士は太極拳がパーキンソン病患者の転倒予防に有効であることを明らかにした。パーキンソン病は高齢期によく見られる神経変性疾患の1つで、中脳のドーパミン分泌細胞の変性による震えや筋肉の緊張、姿勢の保持が難しくなるといった運動障害を主要症状とする難病である。
 
 小刻み歩行もパーキンソン病に特有の症状であるが、年をとると歩幅が小さくなって前屈みになるのは中脳のドーパミン分泌細胞が減少してくるためである。

 リー博士はパーキンソン病の195症例を(1)太極拳群、(2)筋トレ群、(3)ストレッチ群の3群に分け、それぞれ60分のセッションを週に2回、半年間続けさせた。その結果、太極拳群は筋トレ群やストレッチ群に比べて、姿勢の安定性はそれぞれ5.55%、11.98%改善、バランス感覚はそれぞれ10.53%、11.38%改善した。

 半年間の転倒の頻度も筋トレ群0.51回/月、ストレッチ群0.62回/月に対して、太極拳群は0.22回/月と明らかに転倒予防効果が認められたのである。

※週刊ポスト2012年4月6日号

関連キーワード

トピックス

2021年に渡米以降、1度も帰国していない
《新生活》小室圭さんと「ゆったりすぎるコート姿」眞子さん、「住宅リフォーム」特化の大型ホームセンターで吟味していたもの
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
〈50まんでおけ?〉高野容疑者が女性ライバー“最上あい”さんに「尽くした理由」、最上さんが夜の街で吐露した「シンママの本音」と「複雑な過去」【高田馬場刺殺事件】
NEWSポストセブン
作家・曽野綾子さんが遺した金言を振り返る
【曽野綾子さんが遺した金言】“知の貧困”に陥らないように警告する箴言、きれいごとで済まそうとする安易な姿勢への厳しい批判…使命感と信念に生きた人の言葉
週刊ポスト
ご結婚のハードルが下がりつつある愛子さま(2024年10月、佐賀県。撮影/JMPA)
愛子さま“生涯皇族”としての将来に光明 皇族数確保に関する会議で政府関係者が「女性皇族の夫に御用地での同居と皇宮警察による警備を認める」の見解を示す
女性セブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さんが刺傷され亡くなった。送検される高野健一容疑者(左・時事通信フォト)(右が佐藤さん、Xより)
〈シンママとして経済的に困窮か〉女性ライバー “最上あい”さん(22)、高野容疑者(42)と出会った頃の「生活事情」 供述した“借金251万円”の裁判資料で判明した「2人の関係」【高田馬場・刺殺事件】
NEWSポストセブン
米津玄師の新曲MVに出演した羽生結弦(米津玄師の公式スタッフのXより)
羽生結弦、米津玄師との“奇跡のコラボ”で見せた4回転ルッツ 着地失敗で封印したジャンプが仙台で復活、より強くなる“災害に対して祈りと希望を届けたい”という気持ち
女性セブン
角田信朗が再婚していた
格闘家・角田信朗が再婚していた!「本当の意味でのパートナーに出会えた」「入籍はケジメです」お相手は23歳年下の“女将さん”
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・最上あいさんが刺傷され亡くなった(左・Xより)
〈オレも愛里なしじゃ生きていけない〉高田馬場刺殺事件・人気ライバー“最上あい”さん(22)と高野健一容疑者の“親密LINE”《裁判資料にあったスクリーンショット》
NEWSポストセブン
体調不良を理由に休養することになったダウンタウンの浜田雅功
《働きづめだった浜田雅功》限界だと見かねた周囲からの“強制”で休養決断か「松本人志が活動再開したときに、フル回転で働きたいからこそ」いましかないタイミング
女性セブン
いまだ精神鑑定が続く、瑠奈被告
《すすきの頭部切断事件》現場のホテルが格安で売りに出されていた 肝試し感覚で利用者増加、当該の部屋には「報道にあったお部屋です」の説明文
女性セブン
渡米した小室圭氏(右)と眞子さん(写真/共同通信社)
「さすがにゆったりすぎる…」眞子さんが小室圭さんとの買い物で着ていたロングコートは5万6000円の北欧の高級ブランド「通販で間違えて買った」可能性
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・最上あいさんが刺傷され亡くなった(左・Xより)
《生々しい裁判記録》「3万円返済後に連絡が取れなくなった」女性ライバー“最上あい”さん(22)と高野健一容疑者の出会いから金銭トラブルまでの全真相【高田馬場刺殺事件】
NEWSポストセブン