EBウイルスは世界中に蔓延するヘルペスウイルスの仲間で、90%以上が成人になるまでに感染する。唾液を介して感染が広がるが、近年は衛生状態の改善や離乳食の普及などで乳幼児は感染を免れ、思春期や成人になってから感染する例が増えている。
通常、EBウイルスに感染すると、発熱やだるさといった軽い風邪のような症状を呈し、それが治まるとBリンパ球内にウイルスが潜伏して終生宿主と共生する。しかし、思春期から成人にかけて初感染すると、高熱や肝機能異常、リンパ節が腫れるなど強い免疫反応が起こる伝染性単核球症を起こすことがある。大阪府赤十字血液センターの河敬世(かわ・けいせい)所長に話を聞いた。
「EBウイルスは、人にがんを起こすウイルスとして最初に発見されました。アフリカのバーキットリンパ腫や中国沿海部に多い上咽頭がんがそうです。さらに伝染性単核球症、ダンカン症候群、慢性活動性EBウイルス感染症、1990年代以降には一部の胃がん、蚊アレルギー、エイズ関連リンパ腫、種痘様水疱症、移植後リンパ増殖症など、多くの病態に関与することがわかっています」
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2012年4月6日号