今年もお花見シーズンがやってきた。昨年は東日本大震災の直後だったため、自粛傾向にあったが、震災から1年経った今年は、都内や被災地の花見の名所はどうなっているのだろうか?
隅田川の桜並木を眺められることから人気の屋形船。昨年は、かき入れどきの3、4月に予約の8割がキャンセルとなる打撃を受けた。
「今年は自粛ムードはありません。一昨年までよりも多く予約をいただいていて、1.2倍くらいはいただいています。昨年は“浮かれている場合ではない”というかたも多かったようですが、“普段どおりの生活を送ることが被災地の支援につながる”と考える人が増えているのではないでしょうか。桜は日本を象徴する花ですし、東京スカイツリーがオープンすることもあって、土日の予約は特に混み合っています」(東京屋形船組合・担当者)
例年150万人以上の花見客に沸く上野恩賜公園(東京・台東区)では昨年、園内約30か所に宴会自粛の看板を掲示。ぼんぼりの点灯や骨董市などの祭りも中止した。
「今年は、縮小せずに桜まつりを開催中です。骨董市も開いていますし、ぼんぼりは、桜の花が開花してから点けますが、数も通常と変わらず1100個つける予定です」(上野公園管理事務所・担当者)
同様に井の頭恩賜公園(東京・武蔵野市)も、今年は特に看板も設置せず、通常どおりの対応だという。
桜の名所が多い被災地の東北でも、今年は予定どおり行う所が多いようだ。白石川の堤の8kmにわたる桜並木「一目千本桜」で知られる「おおがわら桜まつり」(宮城県柴田郡大河原町)や、みちのく三大桜名所のひとつ、「北上展勝地さくらまつり」(岩手県北上市)も、昨年は大幅に縮小して行ったが、今年は通常どおり。
福島県の名所、「三春滝桜」(田村郡三春町)も、今年は再開してライトアップや出店も通常通り行うという。ただし、福島県南相馬市の夜の森公園では、福島第一原発の避難区域30km圏内にも含まれていることもあり、昨年と同様に中止する。やはり、原発の避難区域では花見を楽しむ状況にはまだなっていないようだ。
被災地の東北でもお花見再開の流れが主流だが、コラムニストのカーツさとうさんも、通常どおりやることに肯定意見だ。
「やりたい人がやる、ということでいいと思います。まだ大変な思いをしている人もいると思いますが、震災から1年が経って、つらいことがあっても花見くらいはやって日常を取り戻したほうがいいと思います。花見はもともと奈良時代から始まったといわれていて、基本は自然を愛でることにあります。それだけ続いてきた、季節の恒例行事なわけです。テレビがある人は、普通にテレビを見るのと同じぐらい当然のように行われるもの。そもそも、やるべきかやらないべきか、ということを考える必要なんてないんです」