60代以上が元気である。昨今この世代で世間を賑わせた有名人といえば、元ドリフターズの加藤茶(69)だろう。今年の3月1日に結婚式をあげた加藤の再婚相手は、なんと46歳も年下の23歳の女性。還暦どころか“古希”を迎える寸前に新婚の身となった加藤の姿は、60代以上の世代でもまだまだ人生に可能性があるということを世間に示したといえる。
ファミリーレストランもシニア層の来店を見込んだ朝食メニューに取り入れ始めていることが報じられるなど、シニア層マーケットには企業も熱い目を向けているところだが、放送作家・脚本家の小山薫堂氏は、アクティブなシニア層の新しい呼称として、「グランド・ジェネレーション」という言葉を提唱する。
小山氏は昨年、音楽プロデューサーの松任谷正隆氏の還暦パーティーに携わった際に、松任谷氏を見て「この人に『シニア』という言葉は似合わない」と感じたとのこと。そこで、センスがあり、知識や経験も豊富で、財産の蓄えもそれなりにあるパワフルな団塊世代に対して新たな呼称を考えてみたくなった小山氏は、「グランド」という表現を思い付いたとのこと。
グランドという言葉には、「尊大な」、「最高位の」といった意味があることから、最も偉大なる世代には「グランド・ジェネレーション」。略すと、「グラジェネ」や「G.G」。小山氏は、「呼び方を少し変えるだけで、新しいマーケットが生まれてくるような気がするから不思議だ」と語る。
さらに小山氏が「高齢化社会の到来を憂うばかりではなく、その世代の消費を促すアイデアがこの国には必要だと思う」とも論じると、早速賛同したのがイオン。イオングループでは今後、「グランド・ジェネレーション」であるシニア層を重要なターゲットとして【1】商品、【2】売場作り、【3】SC、【4】サービスという4つの切り口から、シニア層の支持獲得に向けて取り組む構えで、4月13日から15日までの3日間、東京国際フォーラムにおいて「GRAND GENERATION’S COLLECTION in TOKYO」という、26社32ブースが出展するイベントを開く。
イベントには、グラジェネ向けのアンチエイジング化粧品、タブレットPC、自転車といったものから、仲間や孫と一緒にセカンドライフを充実させる健康増進のためのスポーツ吹き矢や、介護生活に役立つ古武術などのカルチャースクールなど、グランド・ジェネレーション向けに新しい生活スタイルを提案する会社が参加。「グラジェネ」という小山氏の価値提案のオピニオンリーダーとして、イオンはスタートを切ったばかりだが、2020年にはグラジェネ層に最も支持される企業へと生まれ変わっていたい構えだ。