お花見のシーズン到来! とくればお酒がつきものなのだが、日本人の酒量はここ数年、減少傾向にある。「せめてこの時期だけでも、ぱっといきませんか」。食事情に詳しいライター・編集者の松浦達也氏が語る。
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花見の季節がやってきた! 昨年は震災の影響で、花見の自粛が相次いだ。例年なら花見客でにぎわう、都内の公園でも花見シーズンにつきものの、簡易トイレやゴミ箱が設置されなかった。穏やかに桜を愛でる人々はいたが、楽しく盛り上がるというグループはさほど目につかなかった。
さて今年はどうか。「今年は例年通り、簡易トイレやゴミ箱も設置します」(上野恩賜公園)など、ほとんどの公園で通常通り、花見客を迎える態勢が整えられているようだ。
一方で気になる数字がある。花見と言えば、「酒」がつきものだが、2月に発表された国税庁の酒税統計情報を見ると、ピークだった1988年度には2兆2000億円あった酒税収入が、今年発表された最新版(2010年度)では1兆3257億円と約4割もダウンしている。
その最大の理由は「酒離れ」。「製成数量の累年比較」を見てみると、清酒や焼酎という花見につきものの酒が、いずれも5年前と比較すると約2割減。ビールに至ってはこの5年で27%も落ち込んだ。一時は酒税収入減少のやり玉に挙げられた、発泡酒に至っては約5割もダウン。大手居酒屋チェーンですらノンアルコール宴会コースを設定し始めている。
気を吐いているのは、ウイスキーとワインだ。ウイスキーはハイボール人気の追い風もあり、5年前と比較すると3割近く伸びている。堅調な伸びを見せるワインを、最新の発表では追い越した形となっている。一方のワインも、リーズナブルで品質のいいワインがワインバルなどで提供されるようになり、消費を伸ばしている。「花見酒」とも言える清酒や焼酎にも、ぜひこの機会に手を伸ばして頂きたいところだ。
「ガンガン飲もうぜ」などと痛飲を推奨するつもりはないが、焼酎の本場である鹿児島では晩酌を指して「ダレヤメ」とも言う。「ダレ」=疲れ、「ヤメ」=取るという意味で、酒は一日の疲れを取り、明日への活力を生むものとして、生活に根ざしている。適度な量に押さえておけば、「酒は百薬の長」になるのは検証された事実でもある。
2012年の桜前線は3月21日に高知県で開花したのを皮切りに、四国や九州のほぼ全域ですでに開花済み。関東圏では、4月6~12日頃が満開と予想されている。
3月26日には、東北の4軒の蔵元から「感謝の思いを込めて。また震災から1年を迎える今年のお花見が、復興の道半ばにある東北への想いを新たにする機会となりますように。」と、『ハナサケニッポン花見酒』という、桜をモチーフにしたカップ酒も発売された。
「古い」と言われてしまうかもしれない。でもやっぱり花見に「酒」は必要だ。