読売新聞は3月24日、朝日新聞に12項目にわたる質問状を送り、翌25日にも、朝日の「巨人に国税が見直し指導」記事を「明白な誤報」として抗議書を送った。そこでは「事実を曲解」「悪意ある記事」と強い言葉を並べ、5日以内の回答を求めている。さらに『週刊新潮』(4月5日号)には、渡辺恒雄会長自ら手記を寄せた。
〈朝日は、プロ野球に対する正義感や義憤に燃えて“対読売戦争”を仕掛けてきたわけではない。一部の記者たちが、読売憎しで、読売に対する悪意と敵意だけで攻撃してきたのだ〉
まさに「朝日憎し」の檄文である。表面的には強気一辺倒のように見える渡辺氏だが、御年85歳の御仁である。裏では弱気な面も見せていた。
「ある企業幹部が渡辺さんを擁護するような話をしたところ、それを伝え聞いた渡辺さんから『こないだはありがとうございました。皆が好き勝手ばかり書いてるからね。僕のことなんて、誰も分かっちゃくれないんだよ……』と、愚痴混じりのお礼をいわれて驚いたそうです」(その企業の関係者)
さらに、旧知のマスコミ関係者には自ら電話をし、読売への協力を要請しているという。 渡辺氏といえば連日の会食と、その後の赤ら顔での大放言が恒例だが、渡辺氏をよく知る関係者はそれも、「渡辺氏の寂しさゆえ」という。
「渡辺さんのところは同じマンションに息子さん夫婦も住んでいるんですが、あまり行き来がないそうです。奥さんはご病気ですから、夜の会食の予定を入れては外でご飯を食べているんです。その相手も様々で、政治家から経済界の重鎮、目をかけている読売社内の記者まで、週末でも人と会わずにはおれないみたいです」
※週刊ポスト2012年4月13日号