「きんは100シャア、ぎんも100シャア」。そんな名セリフで日本中を沸かせた双子の100才、きんさんぎんさん。あれから20年が経ち、ぎんさんの4人の娘たちもいまや平均年齢93才、母親譲りのご長寿だ。彼女たちに当時のブームのころのふたりを振り返ってもらった。
きんさんぎんさんの名が日本中に知れわたって3年半ほどがたった1995年8月。ふたりは満103才の誕生日を迎えた。この間、ふたりが受けたマスコミの取材は、3500回を優に超えた。一時は芸能人なみにスケジュールがびっしりで、空白の日は週に1日もないという状態が続いた。そんなフィーバーぶりに、気になったのがふたりの健康状態だった。
まさか過労死なんてことは…? 『女性セブン』記者は“きんさんぎんさんブーム”に火をつけたひとりとして、正直いって少なからず責任を感じ、テレビを見ながらしきりに気を揉むようになった。
「100才を過ぎた老体で、あんなにテレビに顔をさらさなくても…」
人気が高まる一方で、そんな批判的な声も聞かれた。嫌がるふたりを家族が無理にテレビに出させて、出演料を稼いでいるのだろうと、穿った見方が雑誌に載ったこともあった。
美根代さん(五女・89才):「確かにいろいろいわれたにゃあ。あること、ないこと…。けんど、それは違っとった。テレビに出るのは、あくまで本人たちの意志だっただがね」
千多代さん(三女・93才):「そう、いやなときは、誰がなんといおうと、頑として断っていらしたよ。ふたりとも、自分の気持ちを大事にしながら、テレビに出るのを楽しんでござった」
百合子さん(四女・91才)「テレビの取材がないと、“なんだか気が抜けたみたいで、寂しいにゃあ”と、おっかさん、ポツリといわしたの、いまもよう覚えとる」
80才近い女優が、舞台でかくしゃくとして、しかも女の艶をにおわせるように、きんさんぎんさんも、他人に見られることで心にみなぎる張りが生まれ、あの笑顔が一層美しくなったのだった。
※女性セブン2012年4月12日号