病気で弱っているときにやさしくされたら、ちょっとしたときめきも何倍にも感じてしまうもの。以下はパートのNさん(38才)が入院中にドキッとしたというシチュエーションの告白だ。
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マイコプラズマ肺炎で入院したときのこと。最初の数日は、熱で体が動かなかったんですが、症状がひいてくると、寝てばかりの生活に飽き飽き。隣の人のいびきもうるさいから、待合室で手持ちのミステリー小説を読んでいたんです。
そしたら突然、「それ、面白いですか?」って、30代後半くらいの男性に声をかけられたんです。ガッチリした体形で、松葉杖姿。強いていえば、山本太郎さん似かな。初対面なのに、馴れ馴れしいな、なんて思ったけど、退屈していたし、「次から次に裏切られる展開で、一気読みできますよ」っていったら、「いいですね、読み終わったら、貸してもらえませんか?」って。ナンパなんて、もう何年もされていないし、面喰らっちゃいました。
そしたら、彼も照れたように「いやぁ、普段、読書には縁遠いんですけど、ボクみたいなケガの場合、体は元気だから、暇で…」って笑顔でいわれ、ついつい共感。ちょうど解説を読んでいるところだったので「じゃあ、よかったらどうぞ」って本を差しだしたら、「お礼に、何かおごりますよ!」ってことに。久しぶりのナンパ体験と、病院という非日常のせいか、私も浮かれちゃって、そのまま売店へ。
「ほかにも面白そうな本、選んでくれませんか? ボク買いますから、貸しっこしましょう」という彼の言葉につられ、それからは、毎日会って、本の感想をいい合ったりして…。ベッドに横になっているときも、彼のことを考えてはドキドキ!
私が退院するときには、「Nさんのおかげで、読書が楽しくなりました。でも、Nさんと話せたのが本当はいちばんうれしかった…」って寂しそうな顔でいわれ、思わずキュン! メールアドレスを教えてもらったんですが、送っていいものか、迷い中です(笑い)。
※女性セブン2012年4月12日号