ananに始まり、唐橋ユミが漢方ブームを加速させているという。このブーム、女性が中心というが、実はオヤジ世代にも波及。なんと、医師の約9割が漢方薬を処方、人気薬局には1か月待ち現象まで起きているという。ネット文筆家の奈良巧氏が報告する。
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漢方が本格ブームだというのだ。anan特別編集「漢方ブック」が出て、結構売れてから1年半近くになる。
今年3月24日(土)に放送されたNHK「ここが聞きたい名医にQ」。テーマは「漢方で解消!冷え・痛み・女性の悩み」だったが、司会の唐橋ユミに惹かれてついつい見てしまったオッサンも多いことだろう。
(http://www.nhk.or.jp/kenko/drq/archives/2012/03/0324.html)
このブーム、女性が中心というが、実はそうでもないようだ。薬局で買える薬も、実は漢方が多くなっている。
おなかの脂肪が多い方にという「ナイシトール」だが、これは防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)という漢方薬処方。同様に肥満改善薬と言われている「ビスラットゴールド」も8種類の生薬を使った、大柴胡湯(だいさいことう)だ。
驚いてはいけない、扁桃腺にヌリヌリする「のどぬーるガラゴック」も、駆風解毒湯(くふうげどくとう)という漢方のエキスが主成分だ。
さて。身近な薬局ではなく、病院ではどうだろう。昨年10月に日本漢方生薬製剤協会が発表した「漢方薬処方実態調査」によれは、漢方薬を現在処方している医師は89%(2008年調査では84%)に上っているという。
(http://www.nikkankyo.org/topix/news/111114/jittaichousa2011.pdf)
お医者さんの9割近くが、漢方薬の処方をしている、というわけだ。とはいえ、処方の量は西洋薬92%対漢方薬8%だが、一般のお医者さんに行って、漢方薬が処方される、というのはちっとも不思議ではない。
実は私も先日、板橋の病院に花粉症で行ったときに「漢方薬出しておきましょう、使ってみてください」と「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」を処方され、毎日3回、顆粒の薬をせっせと飲んでいたところだ。
調べてみると「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン」(日本東洋医学会)によれば、全ての漢方薬の中で、たったふたつだけ、A評価「行うことを強く推奨」のものがある。
「小青竜湯」(しょうせいりゅうとう)疾患:通年性アレルギー性鼻炎
「麦門冬湯」(ばくもんどうとう)疾患: 咳感受性の亢進している気管支喘息
このふたつは、日本東洋医学会が太鼓判を押している薬、というわけだ。
気管支も弱い私は、この「麦門冬湯」の処方も受けてこんどは毎日生薬を煎じて飲んでいる。女性特有の悩みを治すと思っていた漢方薬ブームだが、肥満、花粉症、気管支喘息など、オッサン世代にもじわじわと浸透中、というわけだ。
【参考情報】
東京の帝国ホテルの中にある漢方薬局「薬石花房幸福薬局」(やくせきかぼうこうふくやっきょく)が人気。私も処方をお願いしようと思ったが、3週間~1ヶ月ほど待ちなので断念。
東京の品川にある「薬日本堂」(http://www.nihondo.co.jp/)では「漢方セミナー」を常時行なっている。圧倒的に女性が多いが、20人にひとりくらいは、いい年をしたオッサンを発見。
隣接する「薬日本堂」漢方ブティックで「漢方相談」を受けて、ゼンソクの薬も処方してもらった。(麦門冬湯は1日735円、29日分だと2万1315円になる計算)
漢方薬局では、保険適用にならない。「漢方のお医者さん探し」などで検索すると、保険適用のお医者さんが探せる。