アメリカの株式市場はリーマン・ショック前の水準を回復するなど回復傾向をみせている。今年は11月に大統領選挙があり、それがアメリカ経済にどのように影響するのか注目が集まっている。海外マネーの動向に詳しいパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズの宮島秀直氏が解説する。
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今年の米大統領選挙だが、いまのところ、民主党の現職オバマ大統領に対して、共和党の候補者には有力な対抗馬になりそうな人材は見られない。このまま推移するとどうなるか?
過去、支持率が40%台と極めて低いままで再選を果たした大統領には、1963年から69年まで大統領を務めたリンドン・ジョンソンがいる。そのときは、大統領選後、株価は下落した。国民の期待が薄いまま政策を継続したことが大きな要因となったとされている。
したがって、今のところ、オバマ再選は株価にとってはネガティブな材料と見られている。
しかし、ポジティブな材料がないわけではない。2月に米国議会で、オバマ大統領が、給与税減税法案を再延長することができたため、オバマ大統領の景気対策が加速する、との見方がある。この再延長可決は、昨年来、オバマ大統領の景気刺激策や減税案などの財政負担が拡大する政策にことごとく反対してきた、保守派の政治勢力「ティーパーティー」の政治力の縮退を意味すると見ることもできる。
もし、その想定が現実化すれば、米国の景気回復ピッチは巡航速度ながらも加速するであろう。「QE3(量的緩和第3弾)」の帰趨にも影響がある可能性がある。大統領選の本格化に伴い、米国の政治情勢からも目が離せない。
※マネーポスト2012年春号