「経済の千里眼」こと経済評論家の菅下清廣氏が、未来予測の極意を初めて体系的にまとめた最新著『相場の波動はシンプルに読め!』(小学館刊)がベストセラーになっている。筆者にはなぜこの2月中旬からの株価高騰が予測できたのか――その秘密にプロの投資家も注目している。常識では予測できるはずのない「不況、政局不穏のなかでの株価高騰」を見事に言い当てた「スガシタ波動理論」とは一体何なのか。
日経平均株価の急騰を受けて行なわれた本誌前号の緊急インタビューでも、予測をピタリと的中させた。
インタビュー時点の日経平均株価は、東日本大震災後の高値である1万207円(2011年7月8日)の手前でもみ合う、いわゆる「高値ツラ合わせ」の状態だった。
そこで菅下氏は、その後の有力なシナリオとして、〈3月中に震災後高値を突破し、昨年の最高値である1万891円(2月17日)を目指す〉と述べていた。結果的に3月27日、震災後高値はクリアし、相場は菅下予言の通りに動いている。
大半のアナリストが「世界恐慌」「日本国債大暴落」と分析していた昨年12月上旬、なぜ菅下氏だけがこの春に上昇トレンドに転じると予測できたのか。その理由は、菅下氏独特の「未来予測の手法」にある。
菅下氏がいう。
「世の中のあらゆる事象には波動、サイクルが存在します。金融マーケットにも特有のサイクルがあり、過去のチャートを丹念に分析していくことで、株式市場でも、為替市場でも、コモディティ(商品)市場でも共通して、特定のパターンを見出すことができます。うんと簡単にいってしまえば、上昇と下降トレンドが一定期間で入れ替わる、つまり高値と底値が一定のリズムで現われるということです。
私はこの波動理論を重視し、そのかわり多くのアナリストが重視する『目前の材料』はあまり考えずに長期トレンドの転換点を予測しています」
※週刊ポスト2012年4月13日号