この4月から、学習指導要領の改訂により、中学1、2年生の体育の授業でダンスが必修化された。ダンスはこれまで選択科目の一部だったが、2008年の中央教育審議会で、「中学生のうちにさまざまな種類のスポーツに触れておこう」という方針が決定。2012年度からの新学習指導要領で、男女関係なく、ダンスと武道(柔道、剣道など)を年間12~13コマ学ぶことになった。
ダンスの授業では、自分たちで振り付けを考えて踊る「創作ダンス」、日本を含めた世界各地の民族舞踊の「フォークダンス」、ヒップホップなどの「現代的なリズムダンス」の3種目のなかから学校がひとつを選択して生徒に指導する。
かつては、マイムマイムなどのフォークダンスが運動会で披露されるのが定番だったが、いまは様変わり。文科省の調査によると、66%の学校が「現代的なリズムダンス」を教えると回答。生徒たちの要望も強く、3種目のなかで圧倒的な人気を集めた。
しかし、ダンスの必修化に教師たちは慌てているという。
「50代でヒップホップはキツいですよ」
そう苦笑いするのは、東京都内の中学校で体育を教える男性教師(52才)。学生時代の専門は、ハンドボールだった。
「生活指導の“怖い先生”でとおってるのに、このままでは生徒にバカにされちゃいます…」(男性教師)
大阪市内の女性中学校教師(30才)も困惑顔だ。
「大学時代、ダンスは自由選択でしたので履修していません。ダンスは中学校の『オクラホマミキサー』以来。正直いって生徒たちに教える自信はないです」
山梨県が県内の教員に実施したアンケートでは7割が「教える自信がない」と答えたという。
そんな教師たちに向け、全国でダンス研修会を開いているのは、「日本ストリートダンス協会」。3月末に東京で開催された研修会には、43人の教師が参加。2時間の研修では、ヒップホップの文化から子供たちが踊りやすいリズムのスピード、踊りやすい曲などを教えた後、実際に体を動かしながらヒップホップの初歩的なステップを指導したという。
「小学校の先生、来年度から中学校の教員になられる学生さんもいました。ダンス経験がないかたがほとんどで、皆さん熱心に取り組んでいました」(日本ストリートダンス協会)
※女性セブン2012年4月19日号