フジテレビ系のバラエティー番組『ホンマでっか!?TV』でもお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が「記憶力アップ法」について説明する。脳科学的にはどのように覚えるのがいいのか。以下は澤口氏の解説だ。
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以前、「記憶力」と「集中力」についてお話ししたことがありますが、今週は科学的に証明されている具体的な「記憶力アップ法」を紹介したいと思います。
ストレスなどで脳が疲労すると、記憶力は低下します。加齢による脳の老化でも記憶力は同様に落ちます。つまり、「記憶力アップ」には、脳を健康かつ若い状態に保つことが重要になるのです。
それには、適切な食事と適度な運動、規則正しい生活が基本となります。具体的には、カロリー控えめの日本食を摂り、毎日20分~1時間程度の有酸素運動をし、7時間ほどの質のよい睡眠をとることです。そして、脳を萎縮させることがわかっているアルコールは控えめに。
これらを前提としたうえで、「記憶力アップ法」の話を進めましょう。物事を記憶する際に大きく影響するのが、その事柄が自分にとって意味があるか、ないかです。
みなさんは、自分にとって意味のある大切な事柄を覚えようとするとき、それを「理解」することから始めていますよね。例えば、いろいろあるダイエット法でも、どうしても痩せたいため(意味がある)に、その方法を理解し、記憶しているはずです。
いま私が「○○という記憶法がいい」と列挙する前にこのようなことを述べているのは、「まず、理解してから記憶してほしい!」という思いがあるからです。
それは、理解したことを覚える記憶力は加齢にさほど影響されないからです。歴史の年号やでたらめな数字など単純で理解不能な事柄を覚える記憶力のピークは18才で、その後は右肩下がりで低下してしまいます。ところが、理解したことを覚える能力はかなり高齢まで維持されます。それは「促進」がかかるせいです。つまり、理解するために多くの脳領域が働くため、脳の一部の働きが加齢で低下しても、他の部分がそれを補う形で記憶しようとするせいです。
そして、「記憶力アップ法」のひとつが、これを応用した「イメージ法」です。人間は視覚動物といわれるくらいに視覚が発達しています。そのため、視覚に関係する脳領域も多く、何かの事柄を視覚イメージと結びつけることで多くの脳領域が活動し、記憶化を促進します。ですから、覚えたい事柄をイメージして覚えるようにしてみてください。
例えば、スイーツの「マカロン」という名前を覚えるとき、“カラフルな水玉”の映像をイメージしながら覚えるという具合です。この場合、イメージは“自分にとってわかりやすい”ことがポイントで、他人にはわからなくてもOK。こうした自分にとって思い出しやすいイメージを持つことで、「マカロン」という名前を「理解」し、思い出しやすくなるのです。
※女性セブン2012年4月19日号