「トイレが間に合わないのが不安で、バス旅行に行けなくなった」(42才・パート)
「夜になると、ピンポン玉みたいなモノが股から出てきて……気持ち悪いです」(59才・主婦)
日本排尿機能学会の調査によると、40代女性の43.9%が尿もれを経験。また、尿もれパッドを販売するユニ・チャームが国内の20~80才までを対象に実施した調査(2009年)では、20代でも2割近く、30代も3割が軽い尿もれを経験しているという結果がある。骨盤臓器脱(子宮脱、膀胱脱など)の国内統計はないが、スウェーデンの調査では出産経験者の44%に症状がみられるというデータも…。
悩んでいる人は多いものの、なかなか人に聞けない“女性器”回りの悩み。こうしたトラブルはなぜ起きるのか? 女性医療クリニックLUNAグループ理事長・関口由紀さんが解説する。
「膀胱や大腸、子宮・膣など骨盤内の臓器をハンモックのように支えている“骨盤底筋群”という筋肉や、じん帯・筋膜等が弱り、ゆるむことが原因です。遺伝もありますが、ほとんどは出産のダメージや加齢、特に更年期によるエストロゲンの減少などでゆるんだところに、肥満や、喫煙のための咳などによる腹圧増加が拍車をかけます。
それにより臓器の位置が下がり、尿道や肛門をしめる力も低下し、尿失禁(尿もれ)や骨盤臓器脱、便もれなどが発生するのです。経産婦はもちろん、年齢を重ねた女性には、誰にでもリスクはあります」
特に多い悩みが、尿もれだ。くしゃみをしたり、重いものを持ったりしたときにもれる「腹圧性尿失禁」。膀胱が過敏になる過活動膀胱の症状のひとつで、尿意を覚えて慌ててトイレにいって間に合わないなどの「切迫性尿失禁」――その複合型が一般的だ。
また、骨盤底筋群のゆるみが悪化すると臓器脱に発展するが、どの臓器が落ちてくるかは筋肉やじん帯・筋膜のダメージ箇所で違う。前部分なら膀胱が、中央なら子宮が、後ろなら小腸や直腸が膣から落ちてくるのだ。
※女性セブン2012年4月19日号