“平成の無責任男”“元祖テキトー男”と称されるタレントの高田純次(65)が、いまCMキャラクターとして注目を集めている。
昨年10月より起用されている「ウィルコム」のCMでは、蛭子能収、佐々木希、速水もこみちと共演。高田が繰り広げるおやじギャグや“テキトー”なトークに、佐々木や速水が“どん引き”したり、呆れたりするコミカルな内容が話題だ。
CM総合研究所代表の関根建男氏はこう語る。
「踊る高田さんと蛭子さんにつられて、思わず佐々木さんも踊り出すという“どん引きダンス編”などが男女とも幅広い世代の支持を集めています。高田さんのアドリブトークによって、佐々木さんら他の出演者の素の表情が引き出されており、視聴者にブランドへの親近感をいだかせることに成功しています」
このCMは、CM総合研究所が行った3月度の銘柄別CM好感度調査で、同社最高の総合7位(全オンエアCM2676銘柄中)にランクイン。CMに好感を示した理由である「CM好感要因」では、「出演者」「ユーモラス」「ストーリー展開」のポイントが高いことに加えて「ダサイけど憎めない」では総合3位となっている。
今年2月から出演しているのは「日本スポーツ振興センター」の「スポーツ振興くじBIG」のCM。赤い覆面の“正体不明”の「BIGマン」というキャラクターを演じる高田は、正体を尋ねられると「クレオパトラです」などと“テキトー”に答えるという内容だ。こちらのCMも、3月度の銘柄別CM好感度調査では、30~50代男性を中心に支持を集め、総合10位。「CM好感要因」の「出演者」「ユーモラス」「ストーリー展開」のポイントが高く、「ダサイけど憎めない」では総合2位、「宣伝文句」で総合3位に。
「高田さん本人のキャラクターが存分にいかされた内容。肩の力の抜けたやりとりがユーモラスであり、“当たりたいなら買うしかない!”というセリフでは当たり前のことにもかかわらず、嫌みなく“6億円くじ”を印象づけています」(関根氏)
関根氏は、高田のキャラクターについて「シチュエーションや共演者を問わずどんな場面でも瞬時に盛り上げることができる稀有なキャラクター」としたうえで、こう分析する。
「高田さんならではのアドリブがきいた“テキトー”なギャグはいい意味で視聴者の期待を裏切り続け、見飽きることがありません。いずれのCMも、続編への期待感やCMの鮮度をキープしながら快走を続けています。震災や不景気など先行き不透明な時代だからこそ、高田さんの嫌みのない明るさや、力の抜けた“テキトー”なユーモアが老若男女に支持されているのではないでしょうか。常にひょうひょうとした態度であるがゆえに、どのCMでも押しつけがましさがなく、企業や商品のメッセージをさりげなく伝えている。広告業界にとっては貴重な存在といえるかもしれません」(関根氏)