真面目な教育番組に硬派なニュース、“定番”を踏み外さないドラマ…“優等生”っぽくて信頼できる半面で、古くさくて退屈なイメージがあったNHK。だが、その「らしさ」を打ち破る挑戦を続けている印象がある。
その「らしくなさ」を象徴するのが、2010年3月に始まった朝の情報番組『あさイチ』(総合テレビ月~金曜午前8時15分~)だろう。
この番組が登場するまで、朝の時間帯は民放各局が視聴率争いでしのぎを削り、NHKは“蚊帳の外”だった。ところが、いまでは『あさイチ』が高視聴率をたたき出しており、昨年4月には最高の16.3%を記録した(8時台・関東世帯・ビデオリサーチ調べ)。
朝から「セックスレス」の悩みを取り上げたり、「子宮メンテナンス」や「女の毛」をテーマにしたり。NHKのイメージどころか、朝の番組の常識そのものを覆したといっていい。
プロデューサーの井上勝弘さんがいう。
「“朝だからこんな番組”といった既存のイメージにとらわれず、視聴者が知りたい情報は何かを考えました。同じテーマでも、女性の視点から見るとまったく違ったものに見えるもの。“女性視点”に徹底的にこだわってつくっています」
さらに、いままでのNHKの番組ではあり得なかったような、「いまのVTR、仕込んだでしょ?」とか、自虐をこめた「NHKっぽ~い(笑い)」といった言葉も口にする。
そうした“本音”をぶっちゃけるのは、有働アナをはじめとするキャスター陣だけではない。
井上さんは次のように話す。
「ゲストのかたにも、“必ず本音を出してください”とお願いしています。NHKの生の番組だからといって、思ってもいない当たりさわりのない常識を語ってもらうために来てもらうんじゃない。皆さんが本当に思っていることを素直にストレートに出してください、と。面白くなければ面白くない、関心がなければ関心がないといってくださいと。そういうことをゲストのかたにもお願いしているし、スタッフ全員で共有してやっています」
※女性セブン2012年4月19日号