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櫻井よしこ「中国のシリア、イラン擁護は共産党の保身行為」

 ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子など、様々な分野の論客が、毎号書き下ろしの時事批評を寄稿する『メルマガNEWSポストセブン』。本サイトでは、4月6日に配信された10号に掲載されている「櫻井よしこの今週のオピニオン」を特別に全文公開。2回目の今回は、櫻井が、シリアやイランなどの非人権的国家を中国が擁護する理由について語る。

 * * *
 いま世界は価値観を軸に、大別して二つの勢力に分かれつつある。中国を主軸とするロシア、北朝鮮、イラン、シリアなどの勢力と、その他の国々という色分けである。

 中国を中心とした国々が行っていることは到底、私たちには受け入れられないことだ。たとえば、8500人の国民を殺害したシリアのアサド大統領に対して国連安保理が非難と制裁、警告などをこめて決議しようとしたが、中国とロシアはシリアを守り続けた。核開発を続けるイランも中国が擁護し続け、イランに核関連技術を輸出してきた北朝鮮も、中国はあくまでも擁護し続ける。

 中国がこれらの国々を支持し、守り続けるのは中国共産党の生き残りのためである。アサド政権を倒壊させて民主化を許したりすれば、その民主化の動きが究極的に中国にはねかえり、中国の民主化を引き起こし、中国共産党一党支配体制を突き崩すことを、彼ら自身が知っているからである。

 民主化を弾圧する理由が自身の生き残りをかけてのことであれば、中国と折り合うことはかなり難しい。であれば、私たちは話し合いや交渉の可能性を残しながらも、私たちの側が侵食されないように守りの体制も築かなければならない。

 こうしていま世界には一党独裁で自由も人権も法治もない陣営と、民主主義の下で多くの政党が存在し、自由と人権と法治を大切にする陣営の二つの勢力が生まれている。価値観を軸にして世界が二分され、両者間の溝が広く深くなっていく現状は、第二の冷戦といってもよいものだ。
(続く。次回は4月12日月曜7時に公開予定)

※メルマガNEWSポストセブン10号

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