真面目な教育番組に硬派なニュース、“定番”を踏み外さないドラマ…“優等生”っぽくて信頼できる半面で、古くさくて退屈なイメージがあったNHK。でも最近、予定調和を脱却し、テレビの面白さに“原点回帰”を始めたNHKから元気な番組が次々と生まれている。
そんなNHKの番組の中で、1995年の放送開始以来、18年にわたって高い人気を誇っているのが、『ためしてガッテン』。水曜日の午後8時という時間帯は、民放の裏番組にかつて『速報!歌の大辞テン』(日本テレビ系)、『銭形金太郎』(テレビ朝日系)、現在も『世紀のワイドショー!ザ・今夜はヒストリー』(TBS系)など人気番組が並ぶ。にもかかわらず同番組は平均17%を超える視聴率をあげている。
根強い人気の秘密はどこにあるのか。チーフプロデューサーの西田淳さんがいう。
「NHKの番組のイメージのひとつに“信頼”があると思うんです。情報の信用度とか確かさだとか。“この成分は体にいい”といわれているけど、科学的な切り口で見たときに、本当にいえるのはどこまでで、どこからが不確かなのか。その線を見つけて提示し、説得力をもって語っていくという方法が受け入れられてきたのだと思います」
そうした姿勢が民放各局の情報番組には脅威に映る。
「ダイエットや健康の特集など、ためしてガッテンは質が高い。視聴者はそれを基準にわれわれの番組を見ますから、安易なことはできない。つねに意識しながら負けないようにと頑張っていますね」(民放プロデューサー)
つまり『ためしてガッテン』側は、意図せずとも、民放との視聴率競争にさらされていたのだ。それにしても、18年も継続していて、ネタ切れにはならないのだろうか。
「大変ですよ、ネタを探すのは(苦笑)。一度やった話は、新しいことを付け加えない限りやらないようにしています。“この前より、もっといい方法を見つけちゃった”ということがないと。あと18年続くかもしれないし、数年でネタ切れになるかもしれない。われわれとしては、見てくれるかたが幸せになってくれればいいという思いだけで続けています」(前出・西田さん)
いつ打ち切りになってもおかしくないという危機感が、高視聴率を支えるバネになっているということだろう。
※女性セブン2012年4月19日号