国内

有名大学学生 真面目で上昇志向があるため宗教団体の標的に

 春は入学・進学、入社・異動・転勤などで環境がガラッと変わる季節。大きな変化がある時、人は不安や孤独を感じるものだが、そうした隙を突いて様々な信仰宗教やマルチなどの悪徳商法がマインドコントロールを仕掛けてこようとする。オウム事件で専門家証言や鑑定を行なった社会心理学者の西田公昭・立正大学教授が、その最新手口を解説する。

 * * *
 新興宗教団体の勧誘や悪徳商法への誘いは春から夏にかけて多いとされる。というのも、特に4~5月は環境が変わる人が多く、意識的にも無意識的にも、不安になるからだ。新しい環境では親しい人が周りにおらず、孤独を感じやすく、相談相手も少ないという状況になりがちだ。

 大学の新入生だと、受験勉強ばかりやってきて社会情勢に疎いため、年上の人から就職難や年金問題などについて語られた上で、「そもそもどんな職業につきたいか、真剣に考えるべきだ」と言われたら、多くの人がその通りだと思ってしまうだろう。

 新入生や新入社員であれば、将来への不安とは裏腹に、これからがんばっていこうという希望も持っている。そこへ「平和について考えよう」とか、「人のためになることをしよう」といって近寄られると、つい耳を貸してしまう人は少なくない。

 新しい世界観や人生観を提示されると、感化されてしまうのである。新入生、新入社員に限らず、年度初めはそういう雰囲気があり、警戒すべき時期と言えよう。

 この春には、新しい傾向が出てきている。東日本大震災に絡めて、ボランティア団体を装って近づく、宗教団体や悪徳商法の団体が存在するというのである。

 ある有名大学ではそうした団体によると見られるボランティア募集のビラが貼られていたり、口コミで募集情報が広まっていたりする。有名大学の学生は、上昇志向があり真面目という“騙しやすい対象”であることに加え、思想的に白紙であることから、宗教団体は格好のリクルーティングの場として見ているのだ。

 その他に新しい手法としては、インターネットの検索で、話題のキーワードを通じて自分たちの団体のホームページに呼び込むといったことがある。これはあくまで例えだが、「坂本龍馬」と検索した時、検索結果上位に入るようなウェブページを作っておき、真面目な解説に加えて、自分たちの団体につながるリンクを無数に張り巡らせておくといったような、大企業のマーケティング顔負けのテクニックも駆使している。

※SAPIO2012年4月25日号

関連キーワード

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン