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122歳で亡くなった女性 介護者を気遣い120歳で禁煙していた

 白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏が、南仏プロヴァンス地方を訪れ、長寿の秘訣について考察した。以下、白澤氏の報告だ。

 * * *
 先月末に南仏プロヴァンス地方の町アルルを訪れた。1997年に122歳で亡くなったジャンヌ・カルマンさんの晩年の軌跡をたどる旅だった。
 
 1875年にアルルで生まれたカルマンさんは色白で黒髪にくっきりした眉に情熱的な瞳で、まさしくアルフォンス・ドーデの描いた戯曲「アルルの女」のイメージの女性だった。

 ロートレックに「南仏に行くならアルルにしろ、あの町には美人が多いから」といわれたヴァン・ゴッホがアルルの画材ショップ店で見つけたエキゾティックな顔立ちの「アルルの美少女」が若き日のジャンヌだったのだ。

 120歳の誕生日に「ヴァン・ゴッホはどんな男だったのか」と記者から質問され、「汚くて厭らしい男だった」と率直に答えて記者を驚かし、「人生に後悔はない。私の人生は幸せだった」と120年の人生を総括。

「お肌がキレイですね」という質問には「これまでにできた皺は一つだけ、でも今でもその皺の上に私は座っているのよ」と、最後までウイットとエスプリを忘れなかった。大好きだった「チョコレート」や「赤ワイン」、「タバコ」も120歳まで止めずに「我がまま」を貫き通した。

 しかし、マッチを擦ってもらっていた介護人に気をつかって「120歳で禁煙した」柔軟性も晩年のエピソードの一つになっている。

※週刊ポスト2012年4月20日号

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