検察の執拗な捜査、繰り返される大メディアのリーク報道で国民に強く印象付けられた「巨悪政治家」小沢一郎のイメージは、一人の政治家を抹殺するに十分な威力だった。だが、その中に重大な事実誤認がある。
小沢氏の資金管理団体「陸山会」は、2004年10月、秘書寮建設用地として世田谷区に土地を購入した。購入代金約4億円は小沢氏から借り入れられ、収支報告書には所有権移転登記が完了した2005年に記載された。
これが政治資金規正法違反(虚偽記載)に当たるとして、東京地検特捜部は2010年1月、石川知裕衆院議員ら小沢氏の新旧秘書3人を逮捕した。現在の小沢氏自身の裁判は秘書と規正法違反を共謀したかどうかという点が争われている。
陸山会が違法だと検察に断じられた政治団体による不動産取得は他の政治家もやっていることだ。自民党の町村信孝・元官房長官は2001年、資金管理団体「信友会」を通じて北海道江別市で1000万円の不動産を取得。2007年に600万円の安値で買い取り、自宅として使用している。それでも、大マスコミはどこも報じない。
みんなの党の江田憲司・幹事長も政治団体を使って不動産を購入している。代表を務める政治団体「憲政研究会」の2006年度政治資金収支報告書によれば、2003年に横浜市の建物を840万円で購入している。
※週刊ポスト2012年4月20日号