3.11以降、「宗教」の存在感が増している。「祈り」という言葉や、「手を合わせる」といった行為を見聞きするのが、これほど多かった1年はないだろう。巨大な自然災害が引き起こした理不尽な現実を前に、人々は理屈ではない何かに救いを求めた。いままさに「宗教」に注目が集まっているが、彼らは原発についてどう考えているのか。本誌は、原発問題へのスタンスについて、アンケート取材を行った。
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新宗教界では、公称827万世帯の会員を誇る創価学会の動きが注目される。「SGI(創価学会インタナショナル)の日」である1月26日に、池田大作SGI会長(創価学会名誉会長)が記念提言を行ない、その中で「日本のとるべき道として、原子力発電に依存しないエネルギー政策への転換を早急に検討していくべき」とした。
創価学会はアンケート取材に対して、池田氏提言と同様の姿勢を示した上で、震災前後でスタンスに「特段の変化はない」(広報室)と回答している。しかし、過去の池田氏の著作を見ると、「原子力が、新たな、将来性あるエネルギー源として平和的に利用されることは、喜ばしい」といった、原発を容認する発言も見受けられる。池田氏は「核廃絶」が持論で、徐々に教団が脱原発依存へとスタンスを修正したように見える。
対照的なのは、公称信者数1200万人の幸福の科学だ。「安全対策を徹底した上で原発の再稼働を推進し、十分な電力供給量を確保することが重要」(広報局)と、今回の調査対象の中では唯一原発推進の立場を明示。
「エネルギー安全保障上のリスクや、核保有国に対する潜在的な核抑止力」といった観点についても言及し、「化石燃料輸入の激増が日本の経常収支に負の影響を与えている」などの指摘もあった。
※SAPIO2012年4月25日号