連続不審死事件で、男性3人の殺人罪などに問われた木嶋佳苗被告(37才)。その身長は155cm程度、洋服のサイズは15号で、明らかに“太め”の部類にはいる。一般的にいえば、とてもモテるタイプとはいえないはずだが、一連の公判で彼女が見せつけたのは、あたかも“捕食者”のように男性を陥落させていったという、自信に満ちた態度だった。
「私より太っていて、ブスなのに、なぜ?」
正直、そう感じた女性も少なくなかっただろう。彼女にとって、その容姿はコンプレックスにはならなかったのだろうか。
「どんな女性でも、自分の容姿に対して、なんらかのコンプレックスを持っているものですが、彼女にはそれがない。きっと彼女の脳内には“私は特別な存在で、他人よりすぐれている”という価値観ができあがっているのでしょう」
こう語るのは、ベストセラー『殺人鬼フジコの衝動』(徳間書店刊)などの著書がある作家の真梨幸子さんだ。
「容姿を超越して、“私は特別なものを持っている”と思い込んでいるのだと思います。米国で出版されたナルシシズム(自己愛)に関する本を読んでいて、木嶋被告とリンクしました」(真梨さん)
真梨さんはコンプレックスを抱えた人間が犯す犯罪に興味を持ち、日常的に分析しているが、木嶋被告の言動はそうしたタイプとはまったく違うとして、こう続けた。
「コンプレックスがある人は、犯罪を犯すときにもどこかに迷いが出る。躊躇し、そのためにどこかでボロが出てしまう。しかし、木嶋被告にはそれがありません。顔写真を見ても挑むような目つきで、負けず嫌いの性格がにじみ出ています」
法廷で被害者遺族に「ブス」といわれても、木嶋被告は「誰のことをいってるのかしら?」といわんばかりに表情を変えなかった。法廷で明らかにされたメールの文面からも、彼女のそうした気質が読み取れる。
例えば、2009年8月に死亡した大出嘉之さん(享年41)と結婚マッチングサイトで知り合った木嶋被告は、
<百聞は一見にしかずですから、会いませんか?>
とメールを送った。そして初めて会った8日後にはセックスをし、その翌日には470万円を受け取ったとされる(木嶋被告は否定)。この間、木嶋被告は大出さんに対し、矢継ぎ早に次のようなメールを送っている。
<男女のおつき合いですから、肉体関係の相性もあります>
<早い時期にそうなることも、問題ないと考えています>
<本気で思って下さるなら交際期間中も避妊しなくてもかまいません>
法廷でこのメールの内容を耳にしたコラムニストの北原みのりさんは、「ブスと自覚している人が、自らいうセリフではない」と感じたという。
公判では襟ぐりが大きく開いて、胸を強調するかのようなニットに、ときにはミニスカートをはくなど、とことん“見せる”ファッションにこだわっていた木嶋被告。どんなに寒くても薄いストッキングで通した。北原さんによれば、最終弁論のときに着ていた黒いワンピースは、被告人質問の初日にも着ていたもので、彼女にとって“勝負服”ではないかという。
※女性セブン2012年4月26日号