生活に困窮し、税金や保険料を払えない人に紛れて、支払い能力があるのに「払わない人々」が増えている。給食費に医療費、奨学金まで次々と踏み倒す彼らは、カネの問題ではなく、モラルを崩壊させる存在として、やがてこの国を脅かす。
「払わない人々」の被害は広がる一方だ。都内大学病院の勤務医が語る。
「子供を連れてきて診察中は神妙な顔をして説明を聞いているお母さんが、精算窓口では“私は頼まれて連れてきた親戚です。次回払うように母親にいっておきます”などと言い張って逃げてしまうケースが多いんです。受診後にそのまま窓口に寄らず帰ってしまい、支払いを求めても無視する人もいます」
日本病院会など4つの病院団体で作る四病院団体協議会の発表によると、医療費の未収額は136億円(2008年度)に上っている。
多くのケースでは保険証を提示しているのだから、まず常識的に逃げられるはずはないのに、その場だけ払わずに済めばそれでいいという、もはや完全な場当たり生活である。
「たしかに窓口を通らないというのは昔からちょくちょくありましたが、最近多いのは、『治らなかった』とか、『なんでこんなに治療費が高いんだ』とかクレームをつけて、結局払わないという患者ですね。私たちは飲食店などの商売じゃないので、その場で払わないといわれても警察を呼べません。事務担当者も“後日話し合いましょう”とソフトな対応しかできないので、そのまま踏み倒されてしまうケースが多いですね」(前出・勤務医)
ちなみにDQNとは、「ドキュン」と読み、常識のない方々を称するネット用語である。
※週刊ポスト2012年4月20日号