レギュラー、準レギュラー合わせて約10本のテレビ、ラジオに出演するだけでなく、役者としてドラマや映画などにも出演する人気お笑いコンビのA。誰もが知ってる売れっ子芸人の母親が生活保護を受給していたことが明らかになった。
テレビ局関係者の証言によると、Aクラスの芸人の推定収入は5000万円ほどだという。一般人からすれば、超高給取りといえるA。ならば、母親を援助することも決して難しくはないような気もする。生活保護受給者の相談に乗ったり、援助するケースワーカーを10年以上務め、著書に『野たれ死にするくらいならどんどん生活保護』を持つ多村寿理さんは、こう解説する。
「Aさんの母親が生活保護を受けていれば、おそらく息子である彼のもとに“扶養できないか?”という扶養照会が届くはずです。本来、民法第877条<直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養をする義務がある>が優先しますので、Aさんにも扶養義務が伴います。しかし、何らかの事情で親子関係を絶縁したりしていれば扶養拒否は可能です」
だがAは、母親とのエピソードをネタとして番組で話すなど、絶縁している様子は一切うかがえない。それどころか、Aは飲み会の席で親しい後輩や友人にこんなことを語っていたという。
「いま、オカンが生活保護を受けていて、役所から“息子さんが力を貸してくれませんか?”って連絡があるんだけど、そんなん絶対聞いたらアカン! タダでもらえるんなら、もろうとけばいいんや!」
意図的に母親への援助を拒み続けているのではないかとの疑いももたげてくる。Aの所属事務所に問い合わせたところ、その言い分はこうだった。
「Aの母は12年ほど前から、高血圧やストレスが原因の突発性難聴、肺気腫などのため、生活が困窮して収入が得られず、保護を受けています。しかし、Aには、母親の他に面倒を見なければならない3人の親族がいます。ですので、母親を含め4人の面倒を見れば、その額は4倍となり、彼の負担は大きくなっているんです。
またAはお笑い芸人という職業柄、将来いつ仕事がなくなるかわからないため、しっかりと貯蓄をしておきたいという考えもあるそうです。それら、ふたつの要素を踏まえ、行政と相談して“1か月にこれだけは出せます”という額を仕送りし、それをもともと受給する保護費から差し引いて、減額した形で母親が生活保護を受けているんです。ですので、Aが親の面倒を見ていないわけではないし、決して不正受給をしているわけでもありません」
もちろん各家庭には、それぞれ事情がある。本誌の取材内容を聞いたケースワーカーはこういう。
「たとえAさんの収入が何千万円であっても、援助の額にまでは行政は踏み込めないんです…。Aさんの母親のケースでは、生活扶助基準額から逆算すると、Aさんが母親に送金している額は月々約4万円以下でしょう。これは例えば、Aさんの年収が1000万円であろうと、200万円であろうと関係がなく、それ以上送金すれば、一部生活保護が受けられなくなる場合もあります」
母親の他に3人に各々月4万円としても、4人で月16万円。年間にして192万円…。年収5000万円の超人気お笑い芸人であれば、出すのにそう難しい額ではない気がするが…。
※女性セブン2012年4月26日号