就職氷河期の現代では想像も出来ないことだが、バブル時代には内定者を拘束するために風俗接待があったという。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が、その羨ましくも? 驚くべき実態について語る。
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私、「若者の○○離れ」という表現を聞く度にいつも首をかしげてしまいます。たいていは若者のことを誤解していたり、ある型を押し付けていたりするものですからね。「○○離れ」と言いつつ、今の若者の生活スタイルや持っているお金からすると、そもそもくっついたことなんかなかっただろうと言いたくなることもあります。若者のクルマ離れが象徴的ですね。そもそも80年代、90年代は欲望が作られていて、メディアに踊らされ、しなくてもいい消費をさせられていたとも言えます。今ならより安いお金で楽しく暮らせますからね。
やや話は飛躍しますが……。しかも、下世話な話ですが……。採用活動の現場では、内定者接待における「風俗離れ」が顕著です。
80年代後半、バブルの時期には3S接待というもの存在しました。3Sとは、寿司・ステーキ・ソープランドの頭文字をとったものです(寿司&ステーキ、サウナ、ソープランドの略だという説もあります)。内定したらまさに酒池肉林。ソープにもいけるというわけです。
前に北方謙三先生について無駄に熱く語ったときもそうでしたが、ここで言うソープとはイアンではなく、ランドです。ソープはやや極端かもしれませんが、豪華接待というのは当時、よくありました。現在、旅行代理店の取締役になった方によると、就活中にヘリで東京上空の夜景を楽しみ、「ヘリはいいから、社員の話を聞きたい」と言ったら、次の日はバニーガールが出てくる店に連れていかれたという……。
羨ましすぎます。就職氷河期と言われた90年代でも一部の企業ではキャバクラ、ランパブくらいには連れて行っていました。もっとも、IT企業に勤める京都大学卒の男性によると「人事にソープに連れて行ってもらったけど割り勘で自腹だった。お金を借りてあとで会社に届けにいった」と語ります。いやはや、単なる連れ風俗ではありませんか。
最近、企業にも新人が入社してきましたが、90年代くらいまでは配属された新入社員を風俗に連れて行くという儀式があったものです。ある大手企業の中国支社では初任給が出た日に必ず、新人を連れて出かけるという恒例イベントがありました。うーん、入社式ならぬ発射式ですな、こりゃ。
内定者風俗接待にしろ、新入社員歓迎風俗にしろ、減少傾向なのは店舗型風俗店が減ったこと、企業や先輩社員のお財布事情、コンプライアンス意識が高まっていることなどが影響していそうです。デリバリー型では一体感が醸し出せませんからね。もっとも、若者が風俗離れをしているかどうかは深い検証が必要でしょう。
ピンサロのメッカ、高円寺で密着観察したところ、さすが学生街だけあって、お店には学生がしょっちゅう出はいりしておりました。プロ野球が開幕しただけあって、夜のボールとバットも絶好調ですな。風の谷のナウシカならぬ、「風の俗のカモっすか」という感じですな。お後がよろしいようで。
それにしても、就活と風俗がつながっていた時代があるとは平成生まれには驚きですね。羨ましいですか?