専門家によれば、両親の自宅と金融資産が少々といった、財産総額5000万円前後のケースでもめることが多いとか。実際、遺産の分割をめぐって家族間で調整がつかず、裁判所の調停に持ち込まれるケースも1985年の5141件から、2010年には1万1472件へと急増中。
相続は、プラスの財産だけではなく借金など負の財産も請け負わなくてはいけない。
「借金のほうが多い場合、死亡日から3か月以内に“相続放棄”をすれば借金を背負う必要はありません。3か月が過ぎてしまうと知らぬうちに親の借金を背負うことにもなりかねないので、財産の全容や価値は早めに把握しましょう」
と話すのが相続問題に詳しい税理士の弓家田良彦さん。
法定相続人全員の合意があれば、自分たちで決めた分割割合で財産を分けることも可能。その場合は、あとでトラブルにならないよう、決定事項を「遺産分割協議書」としてまとめておく必要がある。
決められた相続方法に不服な人がいるなど話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所を交えた調停や裁判となる。
「相続でもめる理由は、財産額より人間関係のことのほうが多い。きょうだい仲がよければすんなりいくことが多く、そうでないとこじれるケースがあります」と弓家田さん。
「いちばんよくないのは、当事者の配偶者が出てくること。たとえば長男の奥さんが口を出すと“他人が余計なことをいうな”と他の相続人の感情を逆なでするケースはよくあります」(弓家田さん)
※女性セブン2012年4月26日号