フジテレビ系のバラエティー番組『ホンマでっか!?TV』でもお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が「脳の老化」について説明する。以下は澤口氏の解説だ。
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よく、高齢になるほど、時間を短く感じるといいますが、その理由は脳の老化です。例えば、70才以上になると、時間を実際の時計時間よりも10%ほど短く感じるため、3分20秒を3分くらいに感じます。
また、加齢以外にも、感情や注意・集中、運動などによっても脳内時計の進み方は変化します。これは、脳内時計には脳内ホルモンが大きく関与していて、特にドーパミンとノルアドレナリンが、脳内時間システムに強い影響を及ぼしているからです。
例えば、怖い思いをしている時間が長く感じられるのは、恐怖感とともにノルアドレナリンが増えて脳内時計が遅くなるせいです。楽しい時間はドーパミンが増えるため、脳内時計が速くなり、時間を短く感じます。退屈しているとドーパミンがさほど分泌されないため、時間を長く感じます。また、お酒を飲むとドーパミンは増えるので、時間は短く感じられます。
また、脳内時計には、脳内ホルモン以外に、エストロゲンなどの性ホルモンも関係するため、脳内時計の進み方には性差があります。女性の場合、閉経を迎えるころには女性ホルモンの代表であるエストロゲンがかなり減りますから、そのころから時間感覚はかなり変化し、時間をより短く感じるようになるのです。
年をとると過ぎゆく日々を早いと感じて慌てがちですが、流れている時間は平等なのです。
※女性セブン2012年4月26日号