尿もれや子宮脱をはじめとする骨盤臓器脱など、女性器周辺のトラブルのもとは、骨盤底筋群という子宮や直腸などを支える筋肉やじん帯・筋膜等のダメージだ。
ダメージを受ける原因は、多くが出産によるものだが、加齢で緩んだところに、肥満や、喫煙による咳などで腹圧が増加し、症状に拍車をかけることも。
その予防・改善のもっとも簡単で有効な方法が、自分で骨盤底筋群を鍛える体操「骨盤底筋トレーニング」。この体操自体の認知度は高く、40代女性に行った尿失禁(尿もれ)の調査(ユニ・チャーム、2010年)では、「骨盤底筋トレーニングを知っている」「聞いたことがある」と答えた人は実に71.2%。
しかし実践したことがある人となると16.9%。継続している人はわずか3.7%というのが現状だ。女性医療クリニックLUNAグループ理事長・関口由紀さんが説明する。
「体操を正しく続ければ、重度の尿失禁でなければ2か月で約8割が改善します。ただ、正確に行うのは難しく、最初から正しくできるのは2人に1人。しかも、間違ったやり方で筋肉を動かすことで、症状が悪化する危険もあります」
最近は、膣内診で状態をチェックし、体操指導を行う泌尿器科や婦人科も増えてきているという。けれど、一体どんなことをやるのか…。
そこで、関口さんが女性器周辺のトラブルを抱える患者さんにすすめる「LUNA骨盤底トレーニングセンター」の“個別骨盤底筋体操指導”に、尿もれ予備軍の本誌40代記者らがトライしてきました!
私、ライターTは40代後半、独身、出産経験なし。ここ数年体重が増えて、下半身デブが悪化…。尿もれはないものの、実は最近、全力でくしゃみするのが少々怖い。ひとりで行くのは不安だったので、友人のシングルマザーY(40代)を強制連行。Yは中学生と高校生の子供がいるとは思えないほどスレンダーだが、喫煙者。出産経験者だし、“膣力”は同じくらいのはず!
先に私Tが診察室にはいると、LUNA骨盤底トレーニングセンター長の重田美和さんがにこやかに迎えてくれた。
骨盤内の模型を用いながら、なぜ尿失禁や骨盤臓器脱が起こるのかなどを明解に説明。次に患者が自分の症状や悩みを伝え、内診にはいる。個別指導に来る女性は、10代から90代と幅広いが、ピークは更年期にさしかかる50代前後だそう。
「患者さんで多い症状は腹圧性尿失禁ですが、他にも切迫性尿失禁、頻尿、女性性機能障害などさまざまな病気があるので、何が症状の原因かを内診でみます。骨盤底筋が緩んでいるとは限らず、血流が悪いのか、筋肉が硬くなっているのか、内診で触れてみないとわかりません。
ただ、トラブルを抱えているかたは、骨盤底筋を随意的(=自分の意志で)にコントロールできない場合がほとんど。『膣を締めて』といっても、どこをどう動かしたらいいかさっぱりわからない人も多いんです」
実際に診察にはいる。下着をとり、カーテンで仕切られたベッドに仰向けになり、両膝を立てる。足元に座る重田さんが、
「脚を軽く開いてリラックスして。緊張してますね(笑い)」
まず、陰部表面の状態確認から始まる。「問題ないです」といわれ、ホッ。尿もれしている人の場合、パッドを長時間あてすぎたり、生理用ナプキンを代用したりして、かぶれなどのトラブルを抱えていることもあるとか。
次に内診。ゴム手袋をはめた先生の指が膣内にはいる。私が、「ちょっと痛みがあるかも」というと、もともと粘膜が弱い可能性があり、そういう人が温水洗浄便座や石けんで洗いすぎると粘膜に負担がかかるので、気をつけたほうがいいとアドバイスされた。
※女性セブン2012年4月26日号