新年度が始まって2週間。各企業からは早くも「新入社員の対処に困っている」といった声が続々と聞こえてくる。新入社員が新しい環境に戸惑うのならわかるが、戸惑っているのは上司ばかり。大混乱のオフィスから中継しよう。
研修で配属されてきた新入社員に「まずは現場を経験させよう」と取引先に同行させたのは、商社勤務のA課長(45歳)。
商談中、新入社員は頻繁に携帯電話をチェック。携帯が手放せない世代だとは知りつつも、余りにも失礼なので、相手が中座したすきに注意した。
しかし、A氏が本当に驚いたのはその後のことだ。
「彼のフェイスブックを見ると、“○○社に訪問中”“○○部長と商談”とか、訪問先の実名をあげ、社内の様子までアップしていたんです。まさかそんなことをするなんて……血の気が引きましたよ」(Aさん)
改めて注意したが、新入社員は悪びれる様子もなく、目を輝かせてこういったという。
「僕のフェイスブック見てくれたんですか! 友達になりましょう」
毎年、その年の新入社員のネーミングを発表している公益財団法人日本生産性本部によれば、今年の新入社員は「奇跡の一本松型」。その理由は、「想定外の事態に直面することもあろうが、その困難を乗り越えていくことが大いに期待される」からだという。
たしかに、彼らは厳しい就職難を勝ち抜いてきた“就活のエリート”であり、会社の期待を一身に背負う逸材には違いない。だが、彼らを受け入れた現場からは「すでに根腐れしているのでは」と揶揄する声も上がっているのだ。
マスコミに勤務するB氏(35歳)は、ある日、我が目と耳を疑うような現場に遭遇した。
「新入社員は研修中で帰りが早いのですが、帰り際に、まだ仕事中の先輩社員に向かって『スゲー頑張ってますね!』と声をかけたんです。言葉づかいといい、上から目線といい、何から注意すればいいかわかりませんでしたよ」
B氏は新入社員を飲みに誘ってそれとなく諭したものの、
「先輩が一生懸命やっているんで、励ましたんです」
と答えたのでまたビックリ。全く悪気がないだけに手に負えない。
※週刊ポスト2012年4月27日号